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UPDATE|2019/09/01

ハロー!プロジェクト新体制を書評家・大森望が語る「大きな転換期ではなく、新学期」

大森望 撮影/荻原大志


──『ASAYAN』時代から、ハロプロの運営ってあえてファンが望むことと逆の方向を提示することがありますよね。02年のハローマゲドンが典型例ですが。

大森 あざとくファンの歓心を買うような真似はしないですね。目指しているところは、非常にきっちりしたエンターテインメントだと思うんです。たとえば道重は自分の卒業公演で足がつって動けなくなった。これは一種のアクシデントです。ただ、DVD化するときはその部分を極力目立たせないようにする。ドキュメンタリー的に売ろうとはしない。その前年の武道館でも、MCで道重が「ハゲ気味のみなさ~ん!」と語りかける場面が円盤ではカットされていたり。ただ、そういうきっちりした世界を見せようとしてもハプニングが必ず勃発する。そこが面白いんですね。

──リーダー2人の卒業と相次ぐ新メンバー加入で、ハロプロが大きく変わると予想されています。

大森 そもそも僕は今回の人事を大きな転換期だとは考えていないんですよ。せいぜい「新学期が始まって、新しい生徒が入ってきたな」くらいの感覚。和田彩花、宮崎由加の卒業、勝田里奈の卒業発表に関しても、前例から考えて「やっぱりなあ」という時期でしょうし。ヲタの間ではハロプロ“25歳定年説”がまことしやかに囁かれていますからね。僕自身、道重の卒業やBerryz工房の活動休止発表のときは、すごいショックを受けたんです。ところが周りの古参ハロヲタは、平然と受け止めていた。「年齢的に考えて当然でしょ」みたいな感じでね。つまり、気がついたらいつのまにか僕もその境地に達していたんです(笑)。逆に新しくJuice=Juiceのリーダーになった金澤朋子が今24歳だから、もし彼女が2年後もとどまるとしたら、その方が大事件です。

──なるほど。とはいえ、メンバーが変わることでグループの体質も変化する部分があるのでは?

大森 和田彩花がいなくなったアンジュルムは、確実に変わるでしょうね。ただ、それがカントリー・ガールズ解体くらいのインパクトがある話かといったら、そこまでではない。今年のハロプロ関連ニュースで一番大きなものは、鞘師がBABYMETALと一緒にステージに立ったことですよ。その次に大きなニュースは、鞘師がひなフェスで復活したこと(笑)。昨年11月に事務所を辞めたという発表があったから、「なぜこのタイミングで!? という衝撃は大きかった。実際、会場でも辻希美と加護亜依のW(ダブルユー)復活よりも鞘師への歓声の方が大きかったですし。

──モーニング娘。を去って3年半になりますが、ハロプロファンの間では辞めてなお存在感が増しているような気もします。

大森 ハロヲタの中には「ベビメタのバックダンサーかよ!」って都落ちのように捉える人も多いんです。でも、英国グラストンベリー・フェスティバルで鞘師が5万人の前で踊っている姿を観たら、それはもう胸熱ですよ。
CREDIT

取材・文/小野田衛 撮影/荻原大志


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