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UPDATE|2021/03/27

R-1ファイナリスト・マツモトクラブが語る赤貧劇団時代「芸人転向を決意した意外な転機」

マツモトクラブ 撮影/山上徳幸



――なぜ劇団シェイクスピア・シアターを選んだんですか?

マツモト 役者になりたいと思うようになってから、専門学校に通いながら、俳優養成所のクラスにも週1で通っていました。でも、どうやって役者になっていいのか分からなくて、俳優座を受けたんですけど、そこは落ちて。養成所で知り合った友達が劇団シェイクスピア・シアターに入ると聞いて、僕も受けたら合格しました。

――それほど演技経験がないのに合格したのはすごいですね。


マツモト 劇団シェイクスピア・シアターは普通に文字が読めれば受かるんです(笑)。ただ間口は広いんですけど、どんどん辞めていくんですよね。同期は、高校演劇をやっていたとか、別の劇団でやっていたとかで、僕だけが未経験でした。でも、フラットに入った人のほうが何も分からず進んでいくので長続きして、理想を持って入ってきた人の大半は壁にぶち当たって辞めていくんです。

演出家の先生から「松本はバカだからいいよ」と言われることが多くて、それを誉め言葉と解釈していたんですが、余計なことを考えずに、ストレートに演じているところが良かったのかもしれません。

――入団して13年後、30歳を過ぎて退団したそうですが、理由は何だったのでしょうか。

マツモト 劇団だけでは食べて行けず、30歳を過ぎても生活が変わらない。だったら一旦辞めて、自分に何ができるかを模索しようと考えたんです。と言っても1年間は何も動かず、フリーター生活を送っていたんですけど、パチンコに連続で勝つ日が続いて、それまで持ったことのないまとまったお金が手に入ったんです。そのお金でiPhoneを買って、ボイスメモを使って遊んでいるうちに、今やっているようなネタの形ができあがりました。

それをYouTubeで公開したら、面白いと言ってくれる友達が多くて。そのうちの一人が劇団の後輩で、お笑い好きだったんです。この方向性でお笑いをやったらどうですかと勧めてきて、ソニー(・ミュージックアーティスツ、通称SMA)だったら簡単に所属できると教えてくれて。それでソニーの事務所ライブを観に行ったら、すごく楽しそうで、自分と年齢の近い人たちも頑張っているので、ここだったらやってみたいと思いました。その後、履歴書を持って事務所に行ったら、1週間後には事務所ライブに出ていました(笑)。

AUTHOR

猪口 貴裕


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