――主役の吉尾に成田凌さんを起用した理由は?松居 吉尾って一緒にいる奴によって顔や言動が変わって掴めないんですよね。でも気になるよな、会いたくなるよなというタイプで、その役が誰に合うか考えたときに浮かんだのが成田君なんです。成田君が演じてきた役もそうですし、成田君自身にも、「こいつは一体何なんだ?」と思うことがあるんですよね。
――『愛がなんだ』(2019年)で成田さんが演じた田中マモルなんかも何を考えているか分からないですよね。松居 そういう役に対するアプローチも、「どうやってこの芝居をしているんだろう?」って不思議なんです。あんまり、そういう俳優って日本にいないので、吉尾は成田君がやると面白いなと思ってオファーさせていただきました。
――目次立樹さんはゴジゲンの劇団員ですが、高良健吾さん、若葉竜也さん、浜野謙太さん、藤原季節さんの4人は、どのようにキャスティングを考えたのでしょうか。松居 一緒にやってみたかった人たちというのもありますし、「この人とこの人が一緒にいたらどうなるんだろ」と感覚的に組み合わせを考えました。
――松居監督の映画は『男子高校生の日常』(2013年)や『スイートプールサイド』(2014年)、『私たちのハァハァ』(2015年)や『#ハンド全力』(2020年)など若者たちの生態をリアル描くことが多いです。松居 少年少女を描くのが好きなんです。感情が1個じゃないというか、怒りながら悔しがったり、笑いながら切ながったり、いろいろ整理されずに生きている感じが撮っていて面白いんですよね。そういう映画が続いていたんですけど、『くれなずめ』を撮ってみて、少年少女に関係なく未整理なままでいる人たちを描くことができるなという発見がありました。
(後編へ続く)
【後編はこちら】『くれなずめ』『バイプレイヤーズ』が話題・松居大悟監督が語る“コメディ”へのこだわり