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UPDATE|2014/11/10

【速報】BABYMETALロンドン公演ルポ 大英帝国の地で初披露した新曲『THE ONE』

今年の夏、欧州をそして北米を席巻した我らがBABYMETAL。熱いリクエストに応えて遂に行われた「BACK TO THE USA/UK TOUR 2014」。NY公演に続いて開催された、ちょうど4ヶ月ぶりとなるロンドン凱旋公演の模様を速報でお届けする。

 


 季節は夏から秋へと、そして冬がやってきた。灰色の重い雲が低く垂れ込めたロンドンの街。霧の都と呼ばれるに相応しい、灰色の町並みが軒を連ねている。街を行き交う人々は、既にコートを着込む者も多い。鮮やかな緑の中で行われた、あのSonisphere、そして初のロンドン公演から4ヶ月。季節は移ろうとも、ロンドンっ子のBABYMETALへの熱い想いはちっとも変わっていなかった。

 ライヴ当日。朝から雨がちな寒い気候の中、会場となるO2アカデミーには続々とファンが押し寄せる。午前11時を過ぎた頃には既に100人以上の人間が列を作っていた。日本からのファンは7月と比べると少ないようだ。

ライブの会場となった「O2 Academy Brixton」

SU-METALの歌声は誰の心をも鷲掴みにする


 1曲目はもちろん『BABYMETAL DEATH』。日本人ファンにはお馴染みの自己紹介曲であるが、初見の人間の多いステージでは新鮮味が増す。神バンドが織りなすヘヴィなサウンドに乗り3人が登場すると、会場は既に爆発しそうな歓声。ズブ濡れた服がどんどん乾いていくようなそんな熱気だ。ステージの横幅は思ったほど広くなく、3人はわりと接近した体勢でパフォーマンスを繰り広げる。神バンドも含めかなりコンパクトなフォーメーションだ。

 続いて『いいね!』、『ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト』と初期の曲でたたみかけてくる。ボーカル・演奏とも音響的には最高の状態ではないのだが、3人のパフォーマンスには一寸の陰りもない。「セイホー! ロンドン!」とフロアを煽るSU-METALの声は伸びやかだ。さて、ステージは真ん中に階段のある2階構造で、下手から順にギター、ベース。そして上手側にはドラム、ギターの各神々が並び、中央部にBABYMETAL3人が位置するが、やや窮屈な印象はする。もっと2階部分を利用して伸び伸びとパフォーマンスできないものかとも考える。

 3人がステージから退け、神バンドのソロタイムだ。相変わらずの安定感で安心して見ていられる。次々と超絶ソロを展開する4人の神。どの顔も実に楽しそうだ。

 SU-METALのソロ曲『悪夢の輪舞曲』ではダークでゴチックなBABYMETALの世界観を示し、そしてYUIMETALとMOAMETAL作詞の『4の歌』では可愛らしくも、ちょっとぶっ飛んだふたりのキャラクターがよく表れている。

 再び神バンドの短いソロタイム。続いて『Catch me if you can』。コミカルな同曲もBABYMETALの3人のキャラをよく表現していて、初見の外国人ファンにもその世界観は伝わりやすいようだ。続いて『紅月-アカツキ-』、『おねだり大作戦』とSU-METALのソロ曲、YUIMETALとMOAMETALの曲が交互に続くのは最近では定番となった構成。

 壮大なパワーバラード『紅月-アカツキ-』でのSU-METALの歌唱は、どのライヴでも初見のファンの心を鷲づかみにする。どの顔もじっくりと歌に聴き入っている。

 続いては『メギツネ』。一際大きな歓声だ。独特な和テイストなサウンドが欧米ファンには特に受けるようだ。やはり既存のメタルバンドにはない、BABYMETAL独自の日本風だったり、カワイイ風な要素はずっと大切にしていくべき部分なのだろう。

 BABYMETALの原点である『ド・キ・ド・キ☆モーニング』に続き、ヨーロッパのファンにとっては最もポピュラーな『ギミチョコ!!』。ここでの盛り上がりは最高潮。YouTubeの威力は凄まじい。初見のファンでも良く知っている曲は強い。

 そして本編は『イジメ、ダメ、ゼッタイ』。初体験の欧州ファンが多かったのか、先導する日本人ファンがいなかったのか、ウォール・オブ・デスが不発だったのがちょっと残念だが、ステージ上のパフォーマンスは絶好調。YUIMETALとMOAMETALの掛け合いもイギリスのファンはの目を奪ったようだ。お立ち台に立ちステージを煽る3人。「We Are?」「BABYMETAL!」のコールに凄まじい火花で本編は終了。

「BABYMETAL!」「We Want More!」の大アンコールに包まれ映像が始まる。「メタルレジスタンス第二章の終焉」。映像はそして新たな伝説の始まりを告げる。「鐘を鳴らすのはお前だ」……大きな銅鑼が現れ、『ヘドバンギャー!!』がスタート。鬼気迫るようなSU-METALの歌唱にYUIMETALとMOAMETALのパフォーマンス、そして神バンドの演奏。すべてが一体となってフロアの盛り上がりも最高潮に達した。

 ここで、いつもなら3人がお立ち台に上がるところだが、今夜は違った。傷つき力尽きそうなSU-METALが中央の階段の上り、銅鑼を渾身の力で叩き鳴らす。あのZ公演の再来だ。レジェンドの終焉の時が来たのだ。


次は「遂にベールを脱ぐ『THE ONE』」

遂にベールを脱ぐ『THE ONE』


 そして「メタルレジスタンス第三章」の始まりを告げる映像。3人のメタルレジスタンスの戦いはまた新たな始まりを迎えるのだ。新曲を告げるアナウンス。「メタルの魂はドラゴンのように赤く燃える」。「我々は、BABYMETALはここにいる。我々はひとつになるのだ」、「我々はTHE ONEになるのだ」……。

 叙情的なギターメロディが新しい曲の到来を告げる。大きなBABYMETALフラッグを持った3人がステージ上に現れる。始まったのはそう、DRAGONFORCEを思い起こすようなメロディックスピードメタルのナンバー(注:実際にDRAGONFORCEの両ギタリストのSam TotmanとHerman Liが曲作りに関与した)。道なき道を進めとレジスタンスを歌う楽曲は聞く者皆を奮い立たせ勇気づけてくれるかのようだ。「ウォ~」と高らかに歌い上げると、何と初見にして大きなシンガロングが起きる。新たなメタルレジスタンスを象徴するような、新しいメタルアンセムの誕生の瞬間だ。

 3人と、神バンドそしてフロア全体が一つになった、新曲の誕生に立ち会えた感動をどう表現したらいいのか、言葉が見つからない。ただ熱い涙が両頬を流れるのを感じるのみである。

 お立ち台に上り「Put Your KITSUNE Up!」と叫ぶSU-METALの汗にまみれた表情は満足に満ちているように見える。YUIMETALとMOAMETALも英語で感謝の言葉を述べる。3人は「またロンドンに戻ってくる……でもそれはキツネ様だけが知ってるよ」と英語で続け場内は大歓声だ。

 客電が付くと、フロアはどの顔も驚きと興奮と満足感に溢れた表情をしている。そして早くも次のライヴを熱望する声が聞こえてくる。熱気に包まれた会場から外へ出ると、雨上がりのひんやりとした空気が身体を包む。しかしその寒さよりも、身体の中からわき上がる熱さの方が勝っている……皆そんな興奮した表情をしている。

 メタルレジスタンス第三章。新たなる戦いがどんなステージとなるのか? 年末そして年始のライヴがますます楽しみになった。



セットリスト
01 BABYMETAL DEATH
02 いいね!
03 ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
04 神バンドソロ
05 悪夢の輪舞曲
06 4の歌
07 Catch me if you can
08 紅月-アカツキ-
09 おねだり大作戦
10 メギツネ
11 ド・キ・ド・キ☆モーニング
12 ギミチョコ!!
13 イジメ、ダメ、ゼッタイ
~アンコール~
14 ヘドバンギャー!!
15 THE ONE(新曲)


竹崎清彦 アイドル、ファッション、スポーツ、ゲーム攻略本など幅広く執筆。趣味はライヴ観戦。好きなアーティストを追いかけ世界中どこへでも行きます! 80年代モノに詳しい。 

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