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UPDATE|2021/05/14

HKT48 最新シングル『君とどこかへ行きたい』歌詞から考えるグループの今

HKT48 14thシングル 「君とどこかへ行きたい」アーティスト写真


 このように、秋元氏は若者へのメッセージを歌詞に込めつつ、その時のグループの状態を歌詞にする傾向がある。「待っているばかりではなく、行動しなさい。少々の無茶があってもいい。若者とはそういうものだ。そうでなければグループは活性化しないし、人生は拓けない」というのが秋元氏の人生観だ(その一方で、「無理をしなくてもいい」という歌詞も散見されるのだが)。

 昨年春のHKT48の状況を考えてみる。『3-2』は、同グループの大黒柱・指原莉乃が卒業してから初となるシングルだった。宮脇咲良と矢吹奈子は期間限定ながらIZ*ONEの活動に集中していた。指原はテレビで見ない日はないほどの活躍ぶりだし、海を渡った宮脇と矢吹は韓国で脚光を浴びていた。HKT48のメンバーからすれば、まぶしい存在に映っていたはずだ。

 そんな状況を『3-2』に落とし込んでみる。幸せそうな存在が指原と宮脇・矢吹で、柱だったメンバーがいなくなり、孤独を感じているのがHKT48――。そう思えてならない。だとすると、メンバーは『3-2』を、孤独を打ち払うような決意で歌わなければならない。MV撮影の前に、振り付け師のSeishiro氏はメンバーを集めて、「強い女性になりなさい」とアドバイスを送っているが、歌詞に込められたメッセージを汲み取ったのだろう。

 では、今回の『君とどこかへ行きたい』の歌詞にはどんな意味があるのか。主人公(男性)には意中の存在がいる。そんな人と泊りがけの旅行を計画している。実際に行動したかどうかは書かれていない。だが、「友達から恋人」へと関係を変化させようと、あれこれ模索している。前作と打って変わって前向きだし、曲調もポップだ。

 HKT48は昨年11月に専用劇場がオープンして以降、積極的な動きを見せている。同月、結成9周年を迎え、10年目に突入した。昨年12月からはレギュラー番組『HKTのピシャっと48』(テレビ西日本)がスタートした。今年2月はリモート演劇に挑戦した。シングルの発売も決まった。コンサートの開催もいくつか決まっている。前途が拓けてきた。グループの状況と、新曲の主人公の心情は符合している。『君とどこかへ行きたい』はHKT48の現状を映す鏡だ。

 漠然とではあるものの、未来が見えてきたHKT48は、指原が在籍していた2年前とはすっかり別のグループになろうとしている。

 コロナ禍により先行きは不透明ではある。宮脇と矢吹の今後の去就も不明だ。とはいえ、現役メンバーはこの2年を耐えてきた。粘り強さを身につけたHKT48は、形を変えながら歩いていく。





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AUTHOR

犬飼 華


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