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UPDATE|2021/06/30

乃木坂46メンバーと共演で注目、女優・秋田汐梨が魅せる「何者でもない」すごさ

乃木坂46の筒井あやめと共演する舞台『目頭を押さえた』ポスター


秋田の演技の原点は2019年に公開された映画『悪の華』にある。主人公・春日高男(伊藤健太郎)のミューズである佐伯奈々子を秋田は演じた。作品の序盤、佐伯は思春期の男子の妄想が具現化されたようなキャラクターとして描かれる。春日は佐伯の体操着を盗んだところを見られたことで、仲村佐和(玉城ティナ)の奴隷になってしまう。

佐伯は春日からの告白を受けて交際を始めたものの、仲村に傾倒する春日に失望して去って行く。しかし、「変態」を共通項に密接になっていく春日と仲村に嫉妬の炎を燃やすと、佐伯は静かに狂う。佐伯にも佐伯にしか分からない「青春のヘドロ」が沈殿しているのだ。

優等生に見える人物が抱える自己矛盾を演じることは、異常な人物を演じるのとはまた別の難しさがある。伊藤と玉城の高揚する演技とは対照的に、秋田は抑えた演技で佐伯奈々子に魂を吹き込んだ。撮影時15歳の秋田は、心の闇を発露する演技で女優に目覚めた。

そして、現在公演中の舞台『目頭を押さえた』では、控えめな性格ながらカメラマンとしての才能に溢れた乃木坂46の筒井あやめ演じる杉山遼と対照的な、溌剌とした性格だが自分に誇れるものがない中谷修子を演じている。

遼の撮影には協力を惜しまない修子だが、いざ遼が上京を決めると嫉妬心を隠せなくなってしまう。そんな人間くさい部分を見事に演じた秋田。終盤に起きる衝撃的なシーンで、秋田は背中で感情を表現していた。

秋田は「何者でもない自分」の不安や焦燥を表現できる役者だ。今後、地上波ドラマの主人公を演じた時、秋田汐梨が多くの視聴者の心を掴むことだろう。

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