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UPDATE|2015/01/13

壮絶なる2万人の熱狂 BABYMETALがSSAで示した次なる道

BABYMETAL LEGEND":2015":~新春キツネ祭り~ ライヴレポート@さいたまスーパーアリーナ 2015.JAN.10


 1月10日、BABYMETALの新年最初のライヴ「LEGEND":2015":~新春キツネ祭り~」がさいたまスーパーアリーナで行われた。":メタルレジスタンス第三章":の幕開けを飾る同ライヴの模様をお届けする。

 


 2013年10月のメタルフェス「LOUDPARK2013」で初めてさいたまスーパーアリーナのステージを踏んだBABYMETALが、わずか1年3ヶ月足らずで単独公演として同地に戻ってきた。約2万人の観衆を集めて行われるこの日のライヴ。物販を求めるファンは始発前から集まり、朝5時には早くも数百人が行列を作る。天気は良いものの気温は低い。しかしファンの熱さはライヴを重ねるにつれ高まっていく。今回は海外向けにチケット販売も行われ、外国人の姿も多い。コスプレを楽しむ若い女性や家族連れも多い。BABYMETALのTシャツを身につけていない、新しいファン層も多いようだ。

 会場内に入ると、座席は上層の階までビッシリ。会場の規模は今後、もっと大きくしていかねばならないかも知れない。ステージに目を向けると、背景にはレンガ積みのゴシックな建物がそびえ立つ。両端には朱塗りの太鼓橋がひとつずつ設置され、それぞれ上手・下手の出島につながっている。

 またフロア中央にも出島がぽつんと存在している。天井を見ると長い朱塗りの橋が吊られている。これが降りてくるとステージからセンターの出島に渡れるようだ。最前中央付近だけではなく、両サイドやフロア中程でも3人の姿をハッキリと見られそうだ。大箱ならではの大仕掛けのステージに期待感は高まっていく。

 JUDAS PRIESTやDRAGONFORCE、METALLICAなどの楽曲が流れる場内は大歓声に包まれ、時折サークルモッシュが現れたり客席でウェーブが起きたりと早くもお祭り騒ぎ。18時13分、BGMがANTHRAXの『Among The Living』からPANTERAの『Cowboys From Hell』にチェンジしたところで客電が消える。

 大歓声の中、スクリーンに映される動画。「メタルで世界を一つにする」という使命を負って世界に旅立ったBABYMETALの":メタルレジスタンス第二章":を振り返る。

BABYMETAL『BABYMETAL』

 昨年3月の武道館・黒い夜公演後、棺桶に乗り旅だった3人が、ステージ上に戻ってきた。再び日出づる国へ……。":メタルレジスタンス第三章":の幕開けだ。

「キツネ~キツネ~」のSEに拳を振り上げ早くも臨戦態勢の観客たち。キツネの面を着けた3人は天井から降りてきた橋を渡りセンターの出島へ。新年に相応しく『メギツネ』で狂乱の宴はスタートした。最前方のA・Bブロックは、すし詰め状態ではなく3人がステージや出島を移動するにつれラクに場所を移せる程度にスペースが保たれている。

 赤いライトにグリーンのレーザーがミックスされた空間の中『いいね!』が始まる。ブレイクでは橋をステージ方向に戻りながら「Are You Ready?」と煽る3人。「セイホー! SSA!」と盛り上げる。続いては昨年12月の豊洲PITでお披露目された新曲。「あわあわドリーマー」と可愛らしい歌詞がポップなメロディラインに乗り、初見でも盛り上がりやすい曲だ。

 荘厳なSEに続きSU-METALのソロ曲『紅月-アカツキ-』が始まる。しっとりと冒頭部分を歌い上げ、ツインギターに乗り「アカツキだー!」と叫ぶSU-METALの姿は神々しいほどに輝いている。高音部の歌唱も伸びやかで、今日は安心して聞いていられると確信した。

 YUIMETALとMOAMETALの『おねだり大作戦』では一転して雰囲気はガラッと変わり、屈強なメタラーたちでさえも表情を緩め夢中になってしまう。この2人の魔性の魅力こそ、欧米のメタラーたちを陥落させた要因の大切な1ピースだと感じる。カワイイは正義、カワイイに国境はないのだ。

 神バンドの短いソロに続いての『Catch me if you can』では両サイドの出島にYUIMETALとMOAMETALが出現。突如至近距離で二人を目撃した上手・下手前方のファンは狂喜乱舞。いつもより広いスペースを使ってのパフォーマンスも新鮮だ。『ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト』では「SAY!」「COME ON!」とSU-METALの観客への英語でのレスポンスも板に付いてきた感がある。

『4の歌』ではフロア一体となって「よんよん!」と盛り上がる。YUIMETALとMOAMETALは「みんな!行くよ~!」と叫び、左右そしてセンターの出島を行き来し可愛くパフォーマンス。「大きな声出して!」「まだまだ全然足りないよ!」とフロアを煽る。この日前半のクライマックスと言える盛り上がりに沸いたフロアは、続く神バンドのソロタイムでもヒートアップ。両ギターとベースの神は3つの橋を渡り、観客のより近くで超絶プレイを見せつける。

 続いてはがらりと雰囲気を変え、ダークな『悪夢の輪舞曲』だ。ピアノのイントロが心をかきむしる。センターの出島に現れたSU-METALの狂気を帯びた歌唱が突き刺さる。やがて真ん中の橋とともに天空を舞うSU-METAL。叙情的な旋律の『紅月-アカツキ-』とは別の、SU-METALのもう一方の側面の魅力を如実に見せてくれる楽曲だと感じる。

 さあ、本編はいよいよクライマックスへ。荘厳なSEに続き、SU-METALの切なげな歌声が闇を切り裂く『ヘドバンギャー!!』。曲途中ではYUIMETALとMOAMETALが左右の出島でCO2を噴霧。オーバーヒート寸前のフロアに一瞬爽やかな冷気がたちこめた。続いては昨年大晦日、YouTube再生回数が遂に2000万回を突破した『ギミチョコ!!』。ブレイクでは英語と日本語を巧みに使いフロアにシンガロングを求める3人。懸命に応えるフロア。メンバー、バンド、観客が三位一体となって盛り上がりは最高潮に達し、いよいよ『イジメ、ダメ、ゼッタイ』へ。

 英語による動画を見ながら、フロアは左右に分かれていく。SU-METALの叫びと同時にステージでは火柱が何本も立ち、分かれた観客は思いっきりかけっこを始める。SU-METALの圧巻の歌唱にYUIMETALとMOAMETALの凄絶なバトルパフォーマンス、そして様式美的な曲展開を彩る神バンドのプレイ。メタルの魅力がすべて詰まった楽曲に観衆は心打たれ、身体を限界まで使って呼応する。

「We Are?」と呼びかける3人に「BABYMETAL!」と応える2万の観衆。3人がステージを去っても拍手は鳴り止まない。やがて『BABYMETAL DEATH』のイントロが始まり、スクリーンには炎とキツネの面が映し出される。神バンドが刻むリフに乗って3人が登場すると、フロアはまたも大歓声だ。

 続いて『ド・キ・ド・キ☆モーニング』では、メタラーもアイドルファンも一緒になってフリコピを楽しむ。ある意味異様な光景ではあるが、これこそがBABYMETALの魅力の一つ。違ったジャンルの音楽ファンが一緒になって楽しめる力がBABYMETALには宿っているのだ。SU-METALの「SAY!」に「今何時!?」と呼応するフロアの一体となった盛り上がりは感動的だ。

 再びスクリーンに流れる動画。戦国の乱をモチーフにした動画は、「WODの乱」「天下分け目の合戦」を謳う。タイトルが正式に『Road of Resistance』に決まった、BABYMETALのアンセムだ。叙情的なツインリードの奏でるイントロに乗り、黒い旗を掲げる3人が登場。宿命のメタルレジスタンスの道を高らかに歌う3人。「ウォウウォ&minus:!」とシンガロングも熱い。バックの演奏が止み、観客のみのシンガロングになった時は鳥肌が立った。熱い火柱が立ちまくる。太鼓橋を渡り3つの出島で何度も何度も「We Are?」「BABYMETAL!」のコール&:レスポンスが行われる。最後は火花と爆発音がこだまし、狂乱の宴はフィニッシュ。

 大歓声と拍手に包まれる中、スクリーンに映し出される動画。メタルレジスタンス第三章":Trilogy":。キツネ様の新たなる指令、三種の神器を手に入れるとは何を意味しているのか? メタルゴッド(恐らくJUDAS PRIESTのボーカリストであるロブ・ハルフォードのことか)に会うため、5月に":BABYMETAL WORLD TOUR 2015": を、そして6月に過去最大規模のMOSH’:SH PIT ONLYとなるライブを幕張メッセ展示ホールで行うことが発表された。日程など詳細は後日発表とのことで、今後の動向が注目される。

 客出しのBGMはJUDAS PRIESTの『You’:ve Got Another Thing Comin’:』。BABYMETALが今後、進んでいく道を示唆しているかのようだ。




セットリスト
01 メギツネ
02 いいね!
03 新曲
04 紅月-アカツキ-
05 おねだり大作戦
06 Catch me if you can
07 ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
08 4の歌
09 神バンドソロ
10 悪夢の輪舞曲
11 ヘドバンギャー!!
12 ギミチョコ!!
13 イジメ、ダメ、ゼッタイ

アンコール
14 BABYMETAL DEATH
15 ド・キ・ド・キ☆モーニング
16 Road of Resistance

BABYMETAL『BABYMETAL』

竹崎清彦 アイドル、ファッション、スポーツ、ゲーム攻略本など幅広く執筆。趣味はライヴ観戦。好きなアーティストを追いかけ世界中どこへでも行きます! 80年代モノに詳しい。

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