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UPDATE|2021/09/05

売り切れ書店も続出、ドラマ『准教授・高槻彰良の推察』原作本の3つの魅力とは

東海テレビ・フジ系「准教授・高槻彰良の推察」高槻彰良(伊野尾慧)

完全記憶力を持つ民俗学の准教授・高槻彰良(伊野尾慧/ Hey! Say! JUMP)と、人の嘘がわかる大学生・深町尚哉(神宮寺勇太/ King & Prince)の凸凹バディによる謎解きミステリー、オトナの土ドラ『東海テレビ×WOWOW共同製作連続ドラマ 准教授・高槻彰良の推察 Season1』。

ドラマは毎週土曜日の放送の度にSNSで話題となっているが、実は原作本も爆売れ状態なのだ。ドラマ化とともに重版がかけられたものの、予想外の売れ行きに売り切れになる書店が続出。7月に二度、8月に入ってからもさらに重版がかかるなど、出版元の角川文庫キャラクター文芸編集部も「売れすぎて何度目の重版かわからない!!」と嬉しい悲鳴を上げている。ということで今回は原作本の魅力について考察してみたい。

【写真】Hey! Say! JUMPの伊野尾慧が主演・ドラマ『准教授・高槻彰良の推察』場面カット【3点】

そもそもキャラクター文芸とは何なのか。小説の分類として最近定着してきた分野で、明確な定義はまだないものの、総じて主人公やその周囲の登場人物たちが漫画やアニメのように個性的で、かつ舞台設定も特殊な小説をカテゴライズしたものと言って良いだろう。

今作は完全記憶能力(瞬間記憶能力)を持った主人公と、嘘が分かる大学生という凸凹バディによる謎解きミステリー。それぞれ単独であればどこかで見た事のある設定かもしれないが、この2つの異能が重なることで、実は物語が掛け算的に面白くなっているのだ。

例えば、原作の「針を吐く娘」のエピソード。(ドラマでは「わら人形の怪」として第二話で放送)女子大学生が「針の呪い」に追いつめられる中、それぞれの「嘘」が謎を深める構造となっている。面白いのが、「嘘」は必ずしも「悪意」を持った人間だけが吐くものではない、というリアリティだ。

その場を盛り上げるため、相手に忖度したため、人を傷つけないため……「嘘」の裏にある人間の弱さ、悲しさを准教授の高槻が完全記憶能力によってその背景を浮き彫りにし、登場人物が抱える本当の思い、悩みをやさしい解釈で救っていく。このミステリーと人間ドラマの二重奏は一度はまると癖になるに違いない。

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