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UPDATE|2021/09/11

『孤狼の血2』白石和彌監督がコロナ禍で攻め続ける理由「今度こそ絶対褒められないものに」

白石和彌監督(C)2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会



――それこそが東映の“三角マーク”のもとでヤクザ映画を作る意味でもあると。

白石 消えゆくものに対して、ある種のロマンを感じるというのは僕にもわかるし、ヤクザも人間だってのも、それはその通りなんですけど、「でもそれって、東映がやるべき映画かな?」ってことなんですよね(笑)。

『孤狼~』を観た知人からは、「あんなヤクザいないよね」なんてことを言われたりすることもありますけど、そんなことは僕も分かって作っている。エンタテインメントである以上、それがリアルかどうかは重要じゃない。じゃあ、ありえない殺人鬼が出てくる『悪魔を見た』みたいな韓国映画が、映画としてダメなのかって言ったら、やっぱり違いますからね。

――作中を貫かれている監督・白石和彌の攻めの姿勢。そこに注目をして二度、三度と劇場に足を運ぶのも楽しいかもしれません。

白石 いまは映画の描き方も時代の要請とともに変わらざるを得ない。でも、その線上ギリギリを常に歩くっていうのは、刺激的で楽しい作業でもあるんですよね。

端から「そういうことは止めましょうね」ってことなら、さすがに僕もやらないですけど、オファーがある以上は、そういう“劇物”を少しでも入れながらやったほうが、作品も作りがいがあるし、面白くなる。そういうスタンスは、この先も変えるつもりはないですね。(後編へつづく)

(取材・文/鈴木長月)

【後編はこちら】『孤狼の血』白石和彌監督が語る、役者・鈴木亮平&松坂桃李の凄まじさ「ヒドいやつだけど嘘はついてない」

▽白石和彌
1974年、北海道生まれ。専門学校を卒業後に上京し、故・若松孝二監督に師事。長編第2作となった13年の『凶悪』で若手実力派として一躍脚光を浴びる存在となる。『孤狼の血』はじめ話題作を相次いで発表した17年、18年にはブルーリボン監督賞を2年連続で受賞。最新作には、来年公開予定の『死刑にいたる病』など。『仮面ライダーBLACK』のリブート企画でもメガホンを執ることがすでに発表されている。

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