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UPDATE|2021/09/17

『全裸監督』作家・本橋信宏の新作はテリー伊藤「本を出しましょうと言ったらあっさり“いいよ”」

『出禁の男 テリー伊藤伝』本橋信宏 (イースト・プレス)



――以前からテリーさんの本を書きたい気持ちはあったんですか?

本橋 ありましたね。私は大学生の頃から伊藤さんと親交があったから、ずっと面白い人だなと思っていたし、ヒットメーカーの創作の舞台裏は誰でも関心を持つことじゃないですか。伊藤さんは、そういうことを断片的にしか語っていなかったので、それを書いて出したいと考えていたんです。伊藤さん自身も出版に興味を持ち始めていたんですけど、そのときに伊藤さんが関心があったのは北朝鮮でした。

伊藤さんはサプライズが好きだから、俺がヒット番組の本を出すのは当たり前すぎると。「じゃあ何に関心があるんですか?」と聞いたら、「金正日しかないだろう」と。あの当時は金日成主席も存命で、「金日成のパレード」がサブカル連中の間で話題になっていたんです。だから、「金日成なら分かるけど、金正日は早すぎますよ」って説得したんです。そしたら「俺の嗅覚は当たるんだ。これからは奴が来る」と返されたんですけど、伊藤さんの言うとおりになりましたね。

――さすがの嗅覚ですね。テリーさんは1993年9月に『お笑い北朝鮮―金日成・金正日親子長期政権の解明』(コスモの本)を出してベストセラーになりますが、その取材には本橋さんも同行したそうですね。

本橋 私が出版社を紹介したのもあって、「とにかく日本にいても埒が明かないから行ってみよう」と伊藤さんが言うので、1993年5月に漫画家の根本敬さんも交えて北朝鮮に行きました。1990年9月に「金丸訪朝団」として、自民党の金丸信元副総理、社会党の田辺誠副委員長(当時)の両党代表団が訪朝したので、日朝の関係は雪解けムードだったんです。

名古屋空港から直行便も出ていましたし、平壌のホテルで赤軍派の若林盛亮さんともお会いしました。そしたら若林さんがテリーさんを知っていたんですよ。支援者が日本のテレビ番組や録画して送っていたらしく、私たち以上に流行に詳しくて驚きました。

AUTHOR

猪口 貴裕


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