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UPDATE|2021/09/17

『全裸監督』作家・本橋信宏の新作はテリー伊藤「本を出しましょうと言ったらあっさり“いいよ”」

『出禁の男 テリー伊藤伝』本橋信宏 (イースト・プレス)



――伊藤さんとの出会いは、本橋さんの大学時代に遡るそうですが、改めて出会いのきっかけを教えていただけますか。

本橋 知り合ったのは1976年で、私は大学2年生でした。伊藤さんは若手ディレクターで、初めての特番を任されていたんです。それは伊藤さんが以前から温めていた素人を主役に据えた対抗合戦で、『東大・早稲田・慶應三大学芸能合戦』という番組でした。今だったら通らないような緩い企画なんですけど、そのキャスティングを早稲田の企画演出部という私がいたサークルに任されたんです。当時の私はさほど社交的ではなく、人見知りが激しくて、暗くはなかったんですけどシャイで。そんな私が伊藤さんとは、なぜか馬が合って、かまっていただけたんですよ。

――その番組が終わった後も、お付き合いが続いたんですか?

本橋 『三大学芸能合戦』の翌年に女子大生版をやるというので、「本橋ちゃん手伝ってよ」とまた声をかけてくれたんです。今は廃校となった東京女学館短期大学に行って、夏目雅子さんのご学友と一緒にお茶を飲みましたし、ちょこちょこ伊藤さんの実家にもお邪魔になりました。あの頃の伊藤さんは外注会社「IVSテレビ制作」の無名ディレクターでしたからね。

――大学卒業後は本橋さんもIVSテレビ制作にいた時期があるんですよね。

本橋 もともと私は立花隆さんや竹中労さんに憧れて物書きになりたかったんですけど、まずは新卒でどこかに入社してから独立しようと考えていたんです。ところが、就職試験を受けた会社全てに落ちて、困って伊藤さんに泣きついたら、「うちに来いよ」と言ってくれたんです。まあ3か月で逃げ出しましたけど(笑)。

――当時からテリーさんはしゃべりが達者だったんですか?

本橋 あの頃からジョークも冴えてたし、たとえ話が上手かったし、リハーサルも面白いんですよ。伊藤さん自身、「芸人よりも俺のほうがリハが面白いって言われるんだよ」と言ってました。話芸の達人。あと人たらし。『出禁の男』で取材したIVSテレビ制作の長尾忠彦会長も「ADの頃から伊藤ちゃんは話が面白かったんだよな」と証言してましたけど、話芸は大事ですよね。よく「男は無口のほうがいい」なんて言いますけど、それじゃダメ。あの矢沢永吉だって、カリスマ性の半分以上はしゃべりですからね。村西とおるもそうですよ。

AUTHOR

猪口 貴裕


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