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UPDATE|2021/09/17

『全裸監督』作家・本橋信宏の新作はテリー伊藤「本を出しましょうと言ったらあっさり“いいよ”」

『出禁の男 テリー伊藤伝』本橋信宏 (イースト・プレス)

日本のテレビ業界、バラエティ番組に革命を起こした男、テリー伊藤の半生が一冊の本になった。その名も『出禁の男 テリー伊藤伝』(イースト・プレス)。著者は、NETFLIXでドラマ化された『全裸監督 村西とおる伝』の著者、ノンフィクション作家の本橋信宏だ。コンプライアンスに厳しい現代ではおよそ実現不可能であろう、テレビの世界を劇的に変えていった“天才”テリー伊藤の伝説をなぜ今書き起こしたのか? 本橋信宏氏に話を聞いた。(前後編の前編)

【写真】テリー伊藤×本橋信宏ツーショット

――本橋さんは過去の著作で何度かテリー伊藤さんを取り上げていますが、2010年6月に出した『悩ましき人々の群れ 新・AV時代』(文藝春秋)で、「おれがさあ、死んじゃったら、おれの人生洗いざらい書いちゃっていいよ」というテリーさんの言葉を綴っています。テリーさんはもともと自分の評伝を出すことに乗り気ではなかったということでしょうか?

本橋 よく伊藤さんが口癖で言っていたのは、「演出家というのは他者をどうアレンジするかに関心があるのであって、自分自身にはあまり関心がない」と。私から見たら、伊藤さんは自分にも関心があると思うんだけどね(笑)。あとシャイなんですよ。だから乗り気ではなかったんでしょうね。

――それが今回、『出禁の男 テリー伊藤伝』を出すことになった訳ですが、どういう経緯があったのでしょうか?

本橋 2016年に伊藤さんが『オレとテレビと片腕少女』(KADOKAWA)というノンフィクションを出して、自分自身を記述していたので、「あれ?」と思ったんですよ。それで『出禁の男』を編集した穂原編集長が、『週刊アサヒ芸能』(徳間書店)のテリー伊藤さんの対談をのぞいたときに、「本を出しましょう」と言ったら、あっさりと「いいよ」と。よっしゃ、このスキを突くしかないということで話を進めました。

ただ当初は伊藤さんの自叙伝という話もあって、その場合、私は構成者として参加する予定だったんです。でも伊藤さんは大成功者じゃないですか。たとえ半生を正直に書いたとしても、結果的に自慢本になりかねないと。それは伊藤さんの美学に反するということで、第三者の私が書くことになりました。

AUTHOR

猪口 貴裕


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