――『元気が出るテレビ!!』のどういうところに面白さを感じましたか?
本橋 伊藤さんと日本テレビのディレクターだった土屋敏男さんの話し合いで、とんでもない企画を考えるんですけど、次に何が出るか分からない。制作者がわからないんだから当然、視聴者には予測のつかない展開で、その面白さがありましたよね。それを映像化して見せるスタッフは大変だったでしょうけど。
――大変な思いをしたスタッフの一人に、後にソフト・オン・デマンドを立ち上げる高橋がなりさんがいます。『出禁の男』にも登場しますが、テリーさんとの共通点はありますか?
本橋 がなりさんは“伊藤さん命”だから、しゃべり方からしてそっくりですよ。たとえ話も上手いですしね。「伊藤さんの演出は嫌いだ」って言っているんだけど、がなりさん自身が一番の伊藤流ですから。だって地上20メートルで空中ファックをやらせて、男優ができなかったら下に落ちて爆発だなんて、いじめ以外の何物でもないですよ(笑)。
あと2人に共通する特徴は、自分を客観視できる。狂気の天才として、がーっと突き進んでいるように見えて、「これは調子乗ってるぞ」とか「楽をしてるぞ」とか常に引いて上の方から見ている、もう一人の自分がいるんです。岡本太郎みたいに悪魔的なエネルギーで集中するのも必要だけど、普通の人はそこで終わっちゃうんです。それが創作の世界で成功するかしないかの差かもしれないですね。
――『元気が出るテレビ!!』の放映当時、テリーさんはオンエア後に知り合いの女子大生に電話をして感想を聞くというエピソードも印象的でした。
本橋 まずお姉ちゃんが好き(笑)。多少は枯れたかもしれないけど、今も好きですよ。真面目な話をすると、なぜ女子大生かというとバイアスのかかっていない素の感想を聞きたいから。周りの人間に聞くと、おためごかしで答えるじゃないですか。だから損得抜きで答えられる立場の人に話を聞いていたんですよね。