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UPDATE|2021/09/17

『全裸監督』作家・本橋信宏がテリー伊藤の出禁伝説を本にした理由、「地上波をなめるなよ」

『出禁の男 テリー伊藤伝』本橋信宏 (イースト・プレス)



――テリーさんは自分の会社「ロコモーション」を立ち上げてから、より精力的な活動を始めます。

本橋 好奇心旺盛ですからね。人間の生きる根源は、とどのつまり好奇心です。好奇心が生命力。(ノンフィクション作家の)立花隆さんだって最後まで好奇心旺盛でしたからね。今でもテリーさんは常に新しいことを考えていますから。

――本橋さんは、テリーさんが総合演出を手掛けた『浅草橋ヤング洋品店』に携わっていたそうですね。

本橋 伊藤さんと一緒に北朝鮮に行った流れで、スタジオに行ったり、企画を練ったり、ほんの僅かですかお手伝いしました。杉山治夫会長(※暴力的な取り立てでワイドショーを騒がせた消費者金融経営者)を番組に紹介したこともあります。

――バラエティに杉山会長を出すというのも今では考えられないですよね。

本橋 私は取材でしょっちゅう会っていて、部下のふりをして臓器売買の現場にいたこともあります。ただテレビ局が腰が引けて、確か1回しか出演してないですけどね。伊藤さん自身は性善説の人だから、誰に対しても愛情があって、悪人でも平気で出しちゃうんですよね。

――話は逸れますが、闇社会の人を取材するしんどさはないんですか?

本橋 あまりないですね。先日初めてヒットマンの話を聞いたんですけど、面白かったですよ。私の場合、義務感や仕事だからではなく、面白がることが一番なんです。向こうも面白がってくれる人には積極的に話してくれますから。自分の体って一つしかないから、他の人生を歩みたくても歩めないですよね。どんな成功者でも、今の人生とは違う、陰の人生を送りたいという思いはあるんじゃないですか。

会社社長で大成功を収めていても、実は牧場で牛を追う生活が羨ましいと思っているかもしれない。それを物書きは取材することで追体験できる。私は幼い頃からシャイで人見知りだったから、自分の人生に今一つ自信が持てない。だから他人の人生とすり合わせることのできる、他者のドキュメンタリーやノンフィクション、私小説が大好きなんです。

AUTHOR

猪口 貴裕


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