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UPDATE|2021/10/08

園子温がニコラス・ケイジ主演でハリウッド進出「メジャー感クソくらえ、世界中が驚くものを」

園子温(C)2021 POGL SALES AND COLLECTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.



──ご自身が死の淵から生還したからこそ、創作活動に対してピュアになれた部分も?

園 うーん、ギリギリのラインで戦っていたので、火事場の馬鹿力じゃないけど、そこに軋轢があればあるほど、映画が土台ごとぶっ壊れてもいいってぐらい、めちゃくちゃにしてやれっていうか、ヤケになるのとはまた違った感情になんか着火しちゃうんですよね、脳内で。それで、ますますとんでもないものになっていくっていうか(笑)。そういう感じは間違いなくあったんじゃないかな。

──園さんほど実績のある監督であれば、もう少しマスに向けてメジャー感をあえて出すという方向性もあったと思うのですが。

園 なんでもいいから目立てばいいって、まぁ、それは誰に教わったわけでもないけど、それが僕の考え。わざわざメジャー感を出して、ほんのりと負けていく作品をいくつも見てるし、最初から100億かけてるメジャー映画に食いつくなんていう野暮なことはしたくないなって。

そもそも20年前に『自殺サークル』でデビューしたときも、世界中がとにかく驚くものを作ればいいいんだっていう、そういう発想でしたし、僕からすれば、驚きがあれば、嫌われてもいい。驚かしといて愛されもする、みたいな贅沢なことは考えてないんです(笑)。今回もそんなにたくさんの願いは込めずに、とにかく一点突破で、こういう映画はこの世にないでしょう? って、それぐらいの気持ちで撮りましたしね。

──ご時世的に少しでも時期がズレていたら、実現さえしなかったかもしれませんよね。

園 そうですね。コロナが始まったのが、撮影の翌年。こうして公開にこぎつけられたのはいろんな意味でよかったな、と思っています。

(取材・文/鈴木長月)

▽園子温
1961年、愛知県生まれ。17歳で詩人としてデビュー。ぴあフィルムフェスティバルでのグランプリ獲得を契機にインディーズシーンで注目を集め、01年の『自殺サークル』で商業映画デビュー。以降も『紀子の食卓』や『愛のむきだし』、『冷たい熱帯魚』『ヒミズ』などで国内外の映画祭を席巻。同業者にも数多くのファンを持つ人気監督の一人となる。本作以降も、ハリウッドでの企画がすでに進行中。

【後編はこちら】園子温「アル・パチーノやデ・ニーロをチェーン居酒屋の2時間飲み放題に呼びたい」

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