コンサートのリハーサルは、9月の下旬から始まっていた。
西潟「でも、ゆとりを持ってステージに立ったかというと、そうでもありませんでした。他にお仕事があるメンバーもいますし、『AKB48グループ歌唱力No.1決定戦』の練習もありました。リハーサルの仕上げの時期には、次のシングルのMV撮影も入ってきました。NGT48 に入ってから、一番と言っていいくらい忙しかったです」
1期生にとって、昼の部はすでに踊り慣れた曲が多かったが、2期生にとっては未経験の曲だったりもした。そうなると、全体のリハーサルと個人練習で固めるしかない。
個人的に「単独コン」の見どころは、1期生とドラフト3期生と2期生がどう融合しているか、だと思っていた。加入時期が異なるため、活動もプライベートもそれぞれのカテゴリーでまとまる傾向があったからだ。融合していないならば、全員で単独コンを開く意味は半減する。
西潟「1期生と後輩の間には、お互い変な遠慮や壁がありました。でも、その壁を壊さないといいものを作ることができませんから、リハーサルがいい機会になると思っていました。2期生は積極的に『ここの振りってどうするんですか?』と話しかけてくれて、壁は日に日になくなっていきました」
小越「私が意識していたのは、このコンサートは先輩が連れてきてくれた場所ではあるけど、それだけじゃなくて、私たち後輩が新しい時代を作っていくんだという意気込みを見せることでした。先輩が作ってくれた線路をただ歩いているだけじゃなくて、もっと広い世界に飛び立てませんから。そのためには、リハーサルの時点で2期生みんながその気持ちを共有しないといけないと思っていました」
ある日のレッスンでのこと。ドラフト3期生と2期生は輪になって話をした。
小越「まとめてくれるのは、真下華穂ちゃんです。最年長ということもあるし、お話が上手なので、みんなの意見を聞いたり、自分の意見を話したりしてくれました」
アイドルは、とにかく踊れないと話にならない。それを公演やコンサートで披露して、ファンに真価を問う。キャリアを積めば積むほど、踊れる曲は増えていく。キャリアが浅い者の踊りは、ややぎこちなかったりもする。先輩と後輩の差はそこにある。だが、この日はそこまで大きな差を感じることはなかった。
小越「ドラフト3期生と2期生の中でダンス担当は安藤千伽奈ちゃんです。人一倍パフォーマンスを大事にしているメンバーです。先輩に積極的に質問することで、みんなに正しい振り付けを広めてくれました」