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UPDATE|2021/12/14

太陽でジョーカー、佐藤優樹がモーニング娘。卒業コンサートで見せてくれた輝き

佐藤優樹



そして加入当初から天真爛漫なキャラクターで周りを翻弄してきた佐藤。怒られてもそれがなぜなのかわからないなんてことも多々あり、ただ問題児とも形容できず、他と比べることのできない稀有な存在だった。

今回のライブでも、『泡沫サタデーナイト!』の回替わりでメンバーが自由に喋るパートで「今まですみませんでした!」とファンに謝罪し、ライブの感想を話す場面では「今日ですね、振りをたくさん間違えてしまったんですよ。次のコンサートに生かせるように頑張っていきたいので、またコンサートに遊びに来てくれますか?」とまるで次のライブにも出演するかのようにコメント。1人で登場したWアンコールでは、「ちょっと聞いてください!」と妹に味噌汁を作ったときにぬか床を使ってしまった話を始め、拍手が鳴り止まず再度登場したときには「せっかくキレイに終わったのに!」と文句を言うのだった。

そんな奔放なキャラクターや、みるみる進化していくパフォーマンスからから目を離すことができず、いつの間にか10年が経ってしまった。メンバーもスタッフも、ファンも、彼女に振り回され、翻弄され続けた。それでも彼女の笑顔と優しさに触れると、心にかかった雲が消えていく。パフォーマンスできる嬉しさが詰まった満点の笑顔、いたずらを企むような笑顔、メンバーを見つめる優しい笑顔。それを見たら、こちらもつい笑顔になってしまうのだ。セットリストの最後を飾った『笑顔の君は太陽さ』のタイトルのように、佐藤の笑顔はまさに“太陽”で、気まぐれに私たちを照らしてくれたのだった。

佐藤はモーニング娘。に加入してから出会ったたくさんの人々やつんく♂の楽曲から、自分の見せ方や曲に対しての考え方、自分の思いの伝え方など、本当にいろんなことを吸収してきた。それを確実に自分のものにできたのは、彼女のどんなこともキャッチする素直さと繊細さがあったから。そしてどれだけたくさんのことを吸収しても変わらなかったのは、自分に正直でいること。『笑顔の君は太陽さ』の歌詞にあるように、佐藤は≪嘘がつけないとこが良い≫のだ。実はそれが一番難しいことで、だからこそ、そういられる彼女が眩しく見えたのかもしれない。

佐藤がどんなことを考えているのか、どんな人なのか、この10年で見えたのはほんの一部分だったように思う。この先、グループを卒業した彼女はきっとさらに新しい表現を手に入れていくだろう。モーニング娘。では見えなかった一面が見られることを楽しみに待ちたい。

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