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UPDATE|2015/06/14

武藤彩未が80年代アイドルの名曲を歌い上げる!「A.Y.M. ROCKS ~MUTOな夜~」ライブレポート

武藤彩未「A.Y.M. ROCKS ~MUTOな夜~」ライヴレポート@渋谷CLUB QUATTRO 10.JUN.15

 前日から始まった武藤彩未のライヴ「A.Y.M. ROCKS」2デイズ。2日目の6月10日は、〝MUTOな夜〟と銘打って行われた。前日同様ロックなライヴを前面に押し出したこの日のライヴ。果たしてどんな夜になったのか?


武藤彩未史上、もっとも熱いライブ「A.Y.M. ROCKS ~ROCKな夜~」ライブレポート​
 

 9日同様、10日の東京地方は曇り空。雨こそ降っていないものの、梅雨独特のどんよりとした雲が低く立ちこめ、空気はじっとりとした湿り気を含んでいる。そんな憂鬱な天候の中、東京・渋谷CLUB QUATTROの場内は熱い雰囲気に沸いた。前夜、激しいロックスタイルのライヴでオーディエンスを沸かせた武藤彩未が今日も登場する。しかも武藤が愛する80年代のカバー曲を含むセットリストとあってか、前日よりも客足は良好で、武藤自身が考えたという客入れのBGMに対する反応も良い。

 石川ひとみ『まちぶせ』、あみん『待つわ』、中森明菜『十戒(1984)』、アン・ルイス『六本木心中』といった、武藤彩未ファン世代にとっては青春ど真ん中と言える名曲のオンパレードに、場内の熱気は最高の熱いライヴを行った前日よりも明らかに上だ。前日以上の熱く激しいライヴになるだろうという予感を、フロアの観客皆が感じている、そんな高揚感に包まれた。

 BGMがレベッカの『フレンズ』に変わり、手拍子も加わり一層盛り上がりを見せたところで、武藤彩未自身による影ナレが始まり、フロアは一気にヒートアップ。バンドメンバーに続いて現れた武藤は、花柄の上下の衣装にボブのヘアスタイル。80年代のトップアイドルのようなオーラをまとっている。初日同様『A.Y.M.』で始まったライヴ、観客の反応は明らかに前日より熱い。渾身の彩未コールと手拍子がフロアを包む。

80年代アイドルの名曲たちを武藤が堂々と歌い上げる

 次の工藤静香『黄砂に吹かれて』も、ロック調にアレンジされた曲は、原曲とはまったく違うように聞こえる一方で、まるで工藤静香が歌っているかのようなオトナっぽい色香を漂わせている。黄砂を思わせるイエローのライトの中、今までに聞いたことのないような、女を感じさせる歌声にドギマギしてしまう。次の曲は、レゲエっぽいギターのカッティングで、一瞬何の曲か戸惑ったが、武藤の歌が始まると、中森明菜『北ウイング』とわかる。大胆なアレンジでドラマチックな大人のラブソングを昇華して見せた武藤の表現力の進化に目を見張らされた。

武藤自身がレンガで作った背景の「AYM ROCKS」が印象的

 「エイティーズを歌うと私何かが違うらしいんですよ」と語る武藤に、なるほどと腑に落ちるものがあった。武藤彩未のオリジナル楽曲は武藤のために作られたもので、そこに武藤彩未らしさが漂うのは自然。同じように、80年代の楽曲は当時のそれぞれの歌手に合わせて書かれたもの。それを現代のアイドル歌手である武藤が歌うと不思議な化学反応が起きるのか、武藤の声にオリジナルの歌手の思いが憑依している、と思えるような何とも言えない雰囲気がプラスされるのである。これは素人がカラオケで歌うのとは全く異質な、武藤の力量があってこその化学反応なのだろう。

 次のカバーは松田聖子の『BITTER SWEET LOLLIPOPS』。83年発売の8枚目のアルバム『Canary』の1曲目に収録されているナンバー。シングル曲ではないが、往年の松田聖子ファンには馴染みのあるキュートな楽曲である。決して易しい曲ではないと思うが、武藤は良く歌いこなし、非常に可愛らしい出来映えになったと感じた。カントリーロック調にアレンジされた楽曲の間奏でバンドメンバーを紹介し、フロアにテクニカルなリズムの手拍子をレクチャーして盛り上げる。観客からは「めちゃめちゃ可愛い!」と感嘆の声が溢れた。

 次のカバー曲は、80年代ではなく、武藤が2012年3月まで所属していたさくら学院の『オトメゴコロ。』だ。さくら学院では珍しい、恋する女の子の気持ちを歌った楽曲だが、19歳の武藤が歌うとまた違った雰囲気が漂う。曲中のため息も、ちょっと大人っぽく聞こえる。それでも目を閉じるとあの頃の制服姿の12人がまぶたの裏に浮かんできて、感傷的な気分にさせられた。

 続いてカバー曲最後は小泉今日子の『なんてったってアイドル』。85年当時のトップソロアイドルの1人である小泉今日子に相応しい王道アイドルソング。作詞は、その後数々のグループアイドルを手がけることになる秋元康。そしてグループアイドル全盛の現在、ソロアイドルとして孤軍奮闘する武藤がカバーしたことに不思議な因縁を感じた。KYON2に勝るとも劣らないアイドル性の感じられる出来に仕上がったと思える。しかし、2番に差しかかったところで歌い出しを間違ってしまう(笑)。せっかく『A.Y.M.』の歌詞忘れを克服したというのに……(笑)。ドジな彩未ちゃんも健在なのである(笑)。

80年代のトップアイドルにも負けないオーラを、武藤はまといつつある

 いよいよライヴは後半戦。タオルを振って盛り上がる定番曲の『RUN RUN RUN』、最初から最後まで手拍子とかけ声で盛り上がり続けた『パラレルワールド』、ラフなギターのイントロがかっこいい『HAPPY CHANCE』でも、声を枯らさんばかりのかけ声は止まらない。

 盛り上がり最高潮のフロアを見渡し、「梅雨入りしましたね」と笑わせる武藤。その次にやってくる夏、ライヴ・イベントなどチャンスがあればどこでも歌いたいと宣言する武藤に大きな拍手が起きる。最後の曲は『彩りの夏』。80年代テイストが色濃く感じられる歌詞が、武藤にはやはりピッタリくる。


次ページは、まさかのリベンジに挑戦でファンも大喜び

ライブハウスツアー発表!たったひとりでの挑戦に温かな拍手が送られる

 いつまでも鳴り止まない手拍子と彩未コールの中、昨日同様少し長めのインターバルの後ステージに戻ってきた武藤。本日は白いオフィシャルTシャツを衣装にアレンジしたものに着替えて登場だ。ここで7月18日から、ライブハウスツアー2015「TRAVELING ALONE」が発表され大歓声がわき起こる。

 昨年の夏のツアーなどで経験済みのライヴハウス4公演、バンドスタイルではなく、武藤彩未ひとりでツアーするという。この1年で数多くのライヴ経験を積み重ねた彼女の成長を体感するには、ひとりで舞台に立つことも避けて通れない道と言えるのだろう。「大きくなって帰ってきます」と宣言する武藤に温かい拍手がわき起こった。

 アンコール1曲目は『明日の風』。さらに成長を遂げているだろう明日を見据えるような歌。アコースティックギター1本と武藤の歌声だけの曲に、会場全体がしんみりと聴き入る。「明日の風を吹かせるんだ」と歌う武藤に、これからも声援を届けようと思いを寄せる観客たち。キーボードとベースも加わったアンサンブル、手拍子もかけ声もないが、これもステージとフロアが一体となった形なのだと思える。

 MCで、秋にはアコースティックライヴをやると示唆した武藤。次の曲は予定外の『なんてったってアイドル』リベンジだ。その日のミスはその日のうちに……武藤の負けず嫌いな一面もファンには愛おしく、嬉しいサプライズでもある。そして、こちらは予定通りの最後の曲は『OWARI WA HAJIMARI』だ。今日のライヴはこれで終わりだけど、それは次へのステップの始まりなんだ……そう思えば何でも楽しめる、ポジティブな気分にさせてくれる曲だ。

 大歓声と拍手に送られ、一列に並ぶバンドメンバーと武藤。最後にオフマイクで「武藤の日最高!」と叫んで、プロレスラーの武藤敬司ばりのプロレスLOVEポーズを決めて沸かせた。昨日同様客電がついても手拍子と彩未コールで延々盛り上がるファンたち。根負け(?)した武藤がステージに戻ると、場内は大盛り上がりだ。「ダブルアンコールは、あるものじゃないですからね? 毎回やってるけど、皆さんが帰らないから!」と場内を笑わせる武藤の顔には、ファンの熱い声援への感謝の気持ちが滲んでいる。

 最後の最後の曲は『彩りの夏』。武藤にとってもファンにとっても大切な1曲を手拍子とコールで盛り上げ、2時間近いライヴは幕を下ろした。史上最高の熱いライヴだった前日を超える盛り上がりを見せた2日目。その場の熱さと勢いを重視して、ステージとフロア一体のロックな2日間を経験した武藤。これからの成長の大きな糧となったに違いない。夏のツアーでは、昨年より一回りも二回りも大きくなった武藤彩未を確認できるハズだ。

ステージで歌うことが楽しくて仕方がない!そんな想いが伝わってきた


写真/笹森健一

セットリスト
01 A.Y.M.
02 Doki Doki
03 Daydreamin’:
04 交信曲第1番変ロ長調
05 宙
06 Rock’:n Rouge/松田聖子
07 黄砂に吹かれて/工藤静香
08 北ウイング/中森明菜
09 BITTER SWEET LOLLIPOPS/松田聖子
10 オトメゴコロ。/さくら学院
11 なんてったってアイドル/小泉今日子
12 RUN RUN RUN
13 パラレルワールド
14 HAPPY CHANCE
15 彩りの夏
アンコール
16 明日の風
17 なんてったってアイドル/小泉今日子
18 OWARI WA HAJIMARI 
ダブルアンコール
19 彩りの夏

 
竹崎清彦 アイドル、ファッション、スポーツ、ゲーム攻略本など幅広く執筆。趣味はライヴ観戦。好きなアーティストを追いかけ世界中どこへでも行きます! 80年代モノに詳しい。 

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