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UPDATE|2015/07/24

ももクロ~ヒャダインが日本のアイドルPOPSを変えた!? マーティ・フリードマン★鋼鉄推薦盤

祝連載1周年記念! 今回のターンでは、今までの総まとめとして『外国人のボクから見た、日本のアイドルPOPSの特徴5つ』というテーマでお送りしています。今回のテーマはこちら!

●その2「次世代アイドルPOPSは“ジェットコースター系”」

 今のアイドルソングの世界は、世界で一番進化しているジャンルなんじゃないかと思うときがある。だってアイドルの曲って、普通のJ-POPに比べて複雑な気がしませんか? たとえばこんな感じ。

・ももいろクローバー『行くぜっ!怪盗少女』
・ももいろクローバー『ミライボウル』
・たこやきレインボー『絶唱!なにわで生まれた少女たち』
・私立恵比寿中学『ハイタテキ!』
・でんぱ組.inc『ちゅるりちゅるりら』
・妄想キャリブレーション『魔法のジュース』

 これらの楽曲って一聴して「アレンジが複雑で、普通のポップスではない」という印象がある。テンポチェンジが激しかったり、転調で曲の印象がガラリと変わったり、まるでジェットコースターに乗っているような気分になるね。もう、これはプログレッシブ・ロックみたいなもんだよ。

 アイドル界にこのタイプの楽曲が増えたのは、やはり前山田健一(ヒャダイン)さんが手掛けた楽曲群が発端だと思う。事実、上にリストアップした曲も前山田さんの楽曲がたくさんあるしね。多くのアイドル・クリエイターたちは前山田ワークスの曲を聴いて、「これもアリなのか!」と思ったに違いない。

 ボクは前山田さんの曲を聞くたびにある種のシンパシーを覚えるんです。ボクが80年代にやっていたヘヴィメタルバンド「カコフォニー」の楽曲には、ヘヴィなギターリフの後に、途中で演歌風の泣きのギターソロが出てくる、なんていうけっこうトリッキーな作曲&アレンジをやっていたりしました。あと、とにかく音数を詰め込んでみたりもしたね。それと同じ実験的な要素を前山田さんの楽曲からは感じるんです。もしかしたら、彼とボクはちょっとセンスが似ているのかも。

 ちなみにこういう複雑な楽曲がどんどんヒットチャートに入る国って、実は日本しかないんです。欧米のヒット曲は余計な要素をどんどん抜いてシンプルにしていくような「引き算」で作られることが多いからね。これらのアイドルソングはその真逆で「足し算」で作られている。海外の友人のミュージシャンたちは「マーティは、いい国に住んでるなぁ」って感心してるよ。

(構成・文/尾谷幸憲 協力/バラン野島)

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