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UPDATE|2022/01/14

元モーニング娘。鞘師里保の空白の5年間「たぶん誰よりもアイドルを“演じていた”気がする」

鞘師里保 撮影/荻原大志

ソロとして2021年8月にアーティストとして本格的に再始動した、元モーニング娘。の鞘師里保。1月12日に2nd EP『Reflection』を発売、そして15日からは東京・大阪・地元の広島を巡る1stツアーも開催する。そんな彼女に、あらためて「空白の5年間」について聞いた。(前中後編の中編)

>>前編はこちら

【写真】語りかけるような眼差し、鞘師里保の撮りおろしカット【12点】

──ソロアーティストになって初めて公開された『LAZER』のMVやドキュメンタリー映画のトレイラーでは「一時はパフォーマンスすること自体をやめようと思っていた」という衝撃的な告白がありました。これは何らかの挫折が渡米中にあったということなのでしょうか?

鞘師 挫折……とは少し違うかもしれませんね。繰り返しになるんですけど、「自分は人前に立つべき人間ではないのではないか?」という考えがどうしても拭えなかったんですよ。これはアメリカに行ってから挫折したとかいう話ではなくて、そもそもモーニング娘。にいたときから感じていたことで。結局、そういった思いがあったからこそ卒業したわけですしね。これは私がこれまでの人生を通じて向き合ってきたテーマで、今も完全にその思いが消えたかというと決してそうではないのですが……。

──不思議なものですね。鞘師さんのように才能に満ちた方でも、そこまで自己肯定感が低いものですか。

鞘師 これはもう本当に根本的な性格じゃないかと(苦笑)。もともとどうしてそうやって考えるようになったかと言うと、パフォーマンスする立場になったことが大きかったとは思うんです。だけど考えた結果、たどり着いたのが「私って人としてどうなの?」という問題。アメリカに行く前の私は、自分の存在を否定し始めていたんですよね。少なくても今とは考え方がだいぶ違っていたのは確かです。

──何がきっかけで前向きになれたんですか?

鞘師 結局は同じ人間だから、ニューヨークに行ってもすぐには変われませんでした。でも徐々になんですけど、自分のことを真正面から見られるようになったんです。それまでの自分は、たぶん誰よりもアイドルを演じていた気がするんですよ。ここで言う「アイドル」とは「偶像」という意味。要するに自分じゃない誰かになろうと背伸びしていたんでしょうね。これは今になってようやく理解できることではあるんですけど。留学して違う環境に身を置いたことで、「自分を好きになる」というよりも「自分をきちんと認識できるようになった」ことが大きかったです。

CREDIT

取材・文/小野田衛 撮影/荻原大志


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