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UPDATE|2015/08/09

武藤彩未がTIFで示した「パフォーマーとしての存在感」

2015年8月1日、2日にお台場・青海周辺エリアで開催された「TOKYO IDOL FESTIVAL 2015」。約5万人を動員したこのフェスティヴァルに、武藤彩未は初めてソロとして出演した。

 その初日である8月1日、武藤彩未は野外ステージ「SMILE GARDEN」に登場した。「TOKYO IDOL FESTIVAL 2015」には他にもっと大きな会場もあるが、SMILE GARDENはチケットを購入していない人も見られるために、事実上の「メイン・ステージ」とみなされることも多い重要な場所だ。

 武藤彩未は、いつものように「ナウシカREMIX」とともに登場。その光景は、ふだんは「聖域」にいる武藤彩未というアイドルが、「TOKYO IDOL FESTIVAL 2015」という場に降臨したかのような瞬間だった。ステージに立つと、武藤彩未は目を閉じたまま両手を高く広げて天を仰いだ。

 1曲目は「Seventeen」。暑さを一気に吸い込むかのような爽やかなポップスだ。観客も、初登場した武藤彩未への興奮を感じさせ、一斉に振られる手は波のようにSMILE GARDENへ広がっていた。そして武藤彩未は、炎天下でもステージの左右の端まで移動して観客を盛りあげる。

 そして、手を左右に振る練習から始まったのが「RUN RUN RUN」。武藤彩未のライヴでは、いつもタオルを振ることでおなじみの楽曲だが、驚いたのは武藤彩未が他のアイドルのタオルでもいいから振ってほしいと言ったことだ。そして実際に、さまざまなアイドルのタオルが振り回された光景は、武藤彩未が「TOKYO IDOL FESTIVAL 2015」を一気にホームに変えた瞬間に見えた。「RUN RUN RUN」のサビ終わりでは、真夏の青空にタオルが一斉に投げられていた。

 「Doki Doki」でも、武藤彩未は酷暑を感じさせないほどの安定したヴォーカルとダンスを披露した。そして疾走感に溢れたロック・ナンバー「OWARI WA HAJIMARI」を聴きながら、観客に女の子が多いことも感じていた。「TOKYO IDOL FESTIVAL」出演を機に、ファン層に変化が起きるアイドルは多い。武藤彩未もまた新たなファンをここで獲得したことだろう。

 最後は、80年代テイストの「彩りの夏」。筆者は、2015年7月に開催された「武藤彩未ライブハウスツアー2015『TRAVELING ALONE』」のうち、7月20日に新横浜NEW SIDE BEACH!!で開催されたライヴを見たが、もっとも鮮烈だったは、終演後にファンが「彩りの夏」を歌いながら会場を出ていく光景だった。そう、「彩りの夏」はアンセムなのだ。「コバルトの空を反射して」という歌詞の一節は、このステージのために用意されたものかと錯覚するほどだった。熱を帯びた「彩未」コールとともに、「TOKYO IDOL FESTIVAL 2015」初日での武藤彩未のステージは終了した。

 続く8月2日、武藤彩未は野外ステージとしてはもっとも大きい「HOT STAGE」に出演した。武藤彩未の前は、かつて所属した「母校」であるさくら学院。さくら学院に「初代生徒会長」として紹介されて、武藤彩未は大歓声のなかステージに登場した。彼女は前日と同様、目を閉じたまま両手を高く広げて天を仰いだ。

 武藤彩未を見るために、さくら学院からそのまま客席に残った人も多かったのではないかと思うが、武藤彩未ははっきりとこう言った。「はじめまして、武藤彩未です」と。彼女は完全に初めて出会う観客を意識して「TOKYO IDOL FESTIVAL 2015」のステージに立っていた。

 1曲目は「宙」。SMILE GARDEN以上に広いHOT STAGEのステージでも、武藤彩未は存在感を発揮していた。彼女が小柄であることを意識させないほどだ。続く「交信曲第1番変ロ長調」では、激しいクラップとコールが沸き起こる。そして前日に続いて「RUN RUN RUN」を歌ったが、前日より広い会場だったために、まるでタオルの海の先に武藤彩未がいるかのようだった。

 「A.Y.M.」ではマイクスタンドを使い、歌手としての魅力を体感させた。テクノ~EDMなサウンドの「パラレルワールド」では、歌が安定しているために、よく見ないと武藤彩未が汗を流しながら歌っていることに気づかないところだった。武藤彩未はこの日のステージ前に「珍しく緊張しております」とツイートしていたが、その緊張が良い方向に作用して、ステージの完成度を上げているように感じられた。


 最後は「OWARI WA HAJIMARI」。汗まみれになりながらも、武藤彩未は歌もダンスも表情も完璧だった。そして、それは武藤彩未が大規模な対外戦である「TOKYO IDOL FESTIVAL 2015」を見事に乗り越えた瞬間であった。

 今回の「TOKYO IDOL FESTIVAL 2015」や、前述の「武藤彩未ライブハウスツアー2015『TRAVELING ALONE』」は、武藤彩未にとって久しぶりのオケを使ったライヴだった。2014年12月27日に赤坂BLITZで開催された「武藤彩未 LIVE[OWARI WA HAJIMARI]」、2015年4月29日に渋谷公会堂で開催された「Special Live『BIRTH』」、2015年6月9日、10日に渋谷CLUB QUATTROで開催された「武藤彩未『A.Y.M. ROCKS』」は、どれもバンドを従えたライヴだった。

 それらの公演を筆者は見てきたが、真に驚いたのは、バンド編成でもオケでも武藤彩未という歌手の持つスリルは変わらないということだった。バンドがいれば彼らと呼応し、オケであればファンに呼応する。だから渋谷公会堂であろうとライヴハウスであろうと、会場の大きさに合わせたステージングを武藤彩未はするし、屋内であろうと野外ステージであろうと武藤彩未のステージングは揺らぐことがない。

 武藤彩未は「アイドル」ではあるが、同時にヴォーカリスト、パフォーマーとして破格の存在であり、それゆえに「聖域」にいるとみなされている。それを再確認させられたのが「TOKYO IDOL FESTIVAL 2015」だった。

 だからこそ、渋谷公会堂での公演を収めたライヴ・アルバム「Re:BIRTH~19th Birthday Live at 渋谷公会堂」は、今秋にリリースされたらぜひとも聴くべき作品だ。アイドルのライヴ盤が単体でリリースされること自体が最近では珍しい。ライヴを見ていればわかるが、武藤彩未は完璧主義者だ。ライヴ盤では、生歌を通して彼女の「意地」が感じ取れるはずだ。

 そして、毎年恒例の年末の赤坂BLITZ公演が、今年は12月23日に「武藤彩未 X&rsquo:mas Special LIVE『A.Y.M.X.』」と題して開催される。オケによるライヴが続いたからこそ、バンド編成と予告されているこのライヴは見るべきだろう。そこでは、バンドと観客の両方に呼応してステージを展開する武藤彩未を見られるはずだからだ。

 アイドルであると同時に、ヴォーカリストとして、パフォーマーとして突出した存在である武藤彩未。彼女の真価が発揮されるのは常にライヴなのだ。


ライター:宗像明将
カメラマン:笹森健一

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