「このツーマンライブは本当に待望でした。‟やりたい! やりたい!”ってずっと言い続けて、ようやく実現したんです」
PASSPO☆の森詩織は、そう熱く語る。だが、これはPASSPO☆とアップアップガールズ(仮)の両ファンとて同じ気持ちだろう。
9月11日(金)に新宿BLAZEで開催される「たけなかさんの 愛しい教え子 フェスティバル ~俺たちのTIFはまだ終わらない~」(会場:18時15分/開演19時)は、その名の通り振付師・竹中夏海先生の門下生である2グループが共演するというもの。すでに期待値はMAXまで高まっているといっていい。
今回はグループを代表してPASSPO☆の森詩織と増井みお、アプガの佐保明梨、新井愛瞳が登場。イベントの見どころと意気込みを激白した。4人中3人が人見知りを自認するだけあって、インタビュー序盤はぎこちない雰囲気も漂っていたものの、竹中先生の名アシストぶりも手伝って、最後は意気投合する様子が印象的だった。
竹中夏海/たけなか・なつみ。1984年6月10日生まれ。振付師。PASSPO☆、アップアップガールズ(仮)、夢みるアドレセンスなどを担当。
次ページ/アプガとPASSPO☆の違いとは!?──振付の先生という面で共通点がある両グループですが、お互いの第一印象はどんな感じだったんですか?
新井 たしかに同じ竹中門下生だけど、その部分ではPASSPO☆さんが先輩ですからね。
佐保 竹中学校の先輩ということに加えて、年齢的にも上じゃないですか。だから最初のうちに思っていたのは……怖いなって。
森 え~~~~~っ!? 嘘でしょ!? なんでなんで!? 特に誰が怖かったの!?
佐保 やっぱりそれは……あの……あんにゃさん……。
──それはメイクが原因ですか?
森 そんな細かく追及しないでくださいよ(笑)。
佐保 ただ実際、メイクのことはあったかもしれない。
竹中 杏奈はアップフロントには絶対いないタイプだからね。
佐保 あ~、それはありますね!
新井 すごく自由な感じがするというか……。
竹中 だから、アプガのメンバーは杏奈推しが多いんですよね。(佐藤)綾乃ちゃんとか咲樹ちゃんとか。逆にPASSPO☆の中では、せっきー(関根梓)が人気なんです。いかにもアイドルって感じで新鮮に映るみたいで。
森 うん、新鮮新鮮!
増井 言われてみたら、PASSPO☆って昔から「ザ・アイドル」っていう感じの子を推すよね。自分たちには、そういう要素がないから(笑)。「すご~い! 超可愛い~!」って普通に喜んじゃう。
森 せっきー、小悪魔感あるもんね。
増井 声も可愛い! 笑顔もキャピキャピッとしているし。
森詩織/もり・しおり。1992年11月8日生まれ、東京都出身。A型。ニックネームは「もりし」。
増井みお/ますい・みお。1994年10月6日生まれ、東京都出身。O型。ニックネームは「みおみお」。
森 いや~、ただアプガちゃんはせっきー以外も全員すごいよ。『チョッパー☆チョッパー』の佐保バン(鬼気迫るテンションで行われる佐保のヘッドバンキング)とか、毎回とんでもないなって思いながら観ているし。それに同じ先生についているのに、教わったことをきちんとこなせているかっていう部分で全然レベルが違うし。
新井 ライブに関していうと、黒船公演でPASSPO☆さんの曲をやったことがあったから、そういう角度で観るようになりました。「やっぱ本物の『少女飛行』は違うな」とかって(笑)。「♪空へ交~わる」っていう部分で手を絡め合うフォーメーションがあるんですけど、あそこ大変なんですよ。竹中先生に協力してもらわないと、なかなか合わせられなくて。
佐保 私がすごく面白いと思ったのは、歌っているメンバーの後ろにいる人の動き。ライブを観るときって、ステージ上にメンバーが何人かいても、歌割があるメンバーに注目しがちじゃないですか。でもPASSPO☆さんの場合、それ以外の人にも注目してほしい!
新井 自由なんだよね、本当に。
佐保 そう! すごく自由! 同じ曲でも毎回違う動きをしているもんね。あれは観ていて楽しいし、同時にすごいなって本当に思います。
森 そんなふうに観てくれていたんだ。うれしい~!
佐保 だってメンバー同士の絡みとか、本当にすごくて。もうアイコンタクトどころじゃないというか……。
増井 いきなり寝たりしているからね(笑)。壁ドンとかもやり出すし。
──それは曲に振付がないということなんですか?
竹中 いや、振付はあります! 勝手にやり出すんですよ!
森・増井 ワハハハ!
竹中 たぶん飽きちゃうんだと思います(笑)。ただ、PASSPO☆の中でも森だけはちょっと違うんですよ。こう見えて、教わったことに忠実。アプガに入っても唯一やっていけるメンバーじゃないですかね。逆にいうと、それ以外の子は無理(笑)。
佐保明梨/さほ・あかり。1995年6月8日生まれ、東京都出身。AB型。ニックネームは「アカリ」。
新井愛瞳/あらい・まなみ。1997年11月19日生まれ、群馬県出身。B型。ニックネームは「まぁな」。
次ページ/お互いがお互いを羨ましがっていた!?──『Cheerfu11y』の撮影現場は、どんな雰囲気だったんですか?
森 森咲樹に関して最初に思ったのは、あまり絡めないタイプだなって(笑)。人見知りなのかもしれないですけど、可愛らしいというか、おしとやかな感じ? なんか近寄りがたい気がしたんですよ。だけど話したりしているうちに、めっちゃいい子だってわかったので、そこからは仲よくなりましたね。
竹中 小夏ちゃんは?
森 小夏は最初からギャンギャンにくる子だったので、速攻で意気投合しました。すっごく真面目なんですよね。ダンスの振付とかも、みんながわからないところを率先してスタッフさんに確認して、それで全員が助かったりしていたし。だから、印象は最初から変わらないかな。とにかく明るい。そして熱い。
──『Cheerfu11y』ってダンスがテーマの青春映画ですよね。僕が吉川友さんから聞いた話だと、現場では吉川さんとPASSPO☆がダンスの劣等生組。それに対してアプガは優等生組で、ずいぶんと格差があったということなんですが。
竹中 えっ、きっかちゃんが劣等生!?
森 違います違います! きっかは口では「できな~い」とか言うけど、実際はできるんですよ。騙されちゃダメです(笑)。現場では1人ずつバレエとかヒップホップを踊ってみてって言われるんですけど、そこではアプガとポッシ……違った、チャオ ベッラ チンクエッティは余裕でできるんですね。このへんの集団は、センター狙う感じでバチバチやっているんです。こっちは、すごいなと思いながらその様子を眺めていて。きっかも無理とか言うわりには、まぁまぁちゃんとできているんです。で、いざ私たちの番になったら、もうとんでもないくらい何もできないという(笑)。それなのに、きっかは近づいてきて言うんですよ。「どうしよう~。私たちだけ、できてないね……」とかって。「いやいや、あんたは十分できてるから!」って(笑)。「一緒にしないでくれよ!」って思いましたね。
──当時のPASSPO☆から見ると、古川・森のアプガ組はエリートだった?
森 まさにそんな感じです。
竹中 だってPASSPO☆はダンスを始めて1~2年だったけど、エッグ出身のアプガは……どれくらいだっけ?
新井 エッグだけで7年くらいですね。
竹中 全然キャリアが違うじゃないですか。しかも森・玉井は、まだいいんです。ダンス経験がちょっとはあったから。むっしゅと奈緒美さんに関しては、「何を基準にして選ばれたんだろう?」って疑問の嵐ですよ(笑)。
森 本当に差はとんでもなくありました。当時のアプガはまだダンスの先生もいなかったから、自分たちで曲に振付しているんです。もう信じられないですよ。森咲樹がメンバーに振付をしている様子を、感心しながら見つめていました。
新井 だけど当時、私たちは私たちで自分たちの曲もなかったし、衣装もろくにないような感じだったから……。メジャーデビューして活躍しているPASSPO☆さんを、すごいよなぁって思っていて……。
森 というか、もともとPASSPO☆ってハロプロ好きな子が揃っているんですよ。℃-uteさんのカバーとかやっている様子を見て、いいなって思っていましたし。
竹中 根本的な鍛えられ方が違うしね。歌い方とか、踊り方とか、マイクの持ち方とか……。アプガのメンバーは自覚がないかもだけど、PASSPO☆からしたらハロプロエッグ出身のブランド力は確実にあるんだよね。
増井 私たちとアプガちゃんの違いなんて、細かいことを挙げていったらきりがないです。もうステージに出た瞬間からして違うんですよ。とても敵わないというか。
対バン前のエール交換として森詩織(左)と佐保明梨(右)の間で指相撲対決を敢行。
なかなか勝敗がつかなかったが、抑えこみのルールを5秒から3秒に変えたところでもりしが勝利!
──先にデビューした先輩として、後輩に胸を貸してやるかっていう感じでもなかった?
森 全然! とんでもない! 後輩なんて思ったこともないです!
竹中 アプガからしたら、当時のPASSPO☆は一足先にメジャーデビューしている、ちゃんとしたグループっていう印象だったかもしれない。けどPASSPO☆にしてみたら、アプガはしっかり基礎ができている、ちゃんとしたグループなわけで。たぶん、お互いにないものねだりだったんでしょうね。
新井 『Cheerfu11y』の現場から帰ってきた小夏ちゃんや森ティは、よくあんにゃさんの話をしていたんですよね。その話す感じがすごく楽しそうだから、単純にうらやましいっていうのもあったかも。
竹中 杏奈のこと、どう言ってたの?
新井 ……これ言っていいのかな。「ずいぶん、ふざけた人がいるんだよ」って(笑)。
増井 まっ、その通りだけどね(笑)。
新井 「あの子がいるだけで現場がすごく明るくなる」「‟おはようございます”って挨拶した瞬間、こっちに飛びついてくる」って言っていました。だから私自身は直接絡むことはなかったけど、PASSPO☆さんは気になる存在ではあって、ブログとかはよく見ていたんですよ。
森 本当に!? うれしいな~。
増井 だったら、もっと頭がいいことを書かないと……。
竹中 「頭がいいことを書かないと」っていう発想自体がバカっぽいんだよ(笑)。
新井 いや、でも私は結構ブログの書き方を参考にさせてもらっていて……。
増井 参考に!? あれのどこが参考になるの?
新井 私が自分で書く場合、なんか小学生の作文みたいになっちゃうんですよ。「今日は、こんなことがありました。楽しかったです」みたいな感じで。だけどPASSPO☆さんのブログは書き方が本当に自由だから。特に、あんにゃさんのブログは自由さがハンパじゃないっていうか……。
──ダンスだけじゃなく、ブログでもPASSPO☆の自由さに憧れていたんですね。
新井 私たちって本当に、1から10まで言われた通りにやるっていうのが身に染みついちゃっているんですよ。10年以上前、エッグに入った頃からずっと。MCも台本があって、それを1文字ずつ間違えないように読むっていう感じでしたし。振りも決められた通りにやらないとむっちゃ怒られるので、それをきちんとこなすって感じで。そんなだったから、アドリブっていうのが何に対しても苦手なんです。
──そういう自分たちからすると、PASSPO☆はすごいっていう話になるでしょうね。
新井 そうなんですよ。だって、ライブ中なのに急にステージの後ろで行って、セットの上に座り出して、おしゃべりとかしているんですよ? 「あとで先生に怒られないのかな」って思っちゃいますよ。ハラハラしながら観ています。
竹中 面白くなかったら怒るけどね(笑)。
後編/竹中夏海先生が教え子2グループの違いを解説撮影/西邑泰和
「たけなかさんの 愛しい教え子 フェスティバル ~俺たちのTIFはまだおわらない~」
日程:9月11日(金)開場18:15 開演19:00
会場:新宿BLAZE
出演:PASSPO☆、アップアップガールズ(仮)、竹中夏海
小野田衛 1974年、神奈川県生まれ。出版社勤務を経て、現在はフリーの編集・ライターに。『月刊ENTAME』では主にハロプロとプロレスの記事を手がける。著書に『韓流エンタメ日本侵攻戦略』(扶桑社新書)。