FOLLOW US

UPDATE|2022/03/10

芸人考察本が増刷・平成ノブシコブシ徳井が語る「絶望から這い上がった芸人の生き様はカッコいい」

平成ノブシコブシ徳井健太 撮影/松山勇樹

ネットでの連載が好評を博したことで、『敗北からの芸人論』(新潮社)を上梓した平成ノブシコブシ徳井健太。その愛ある芸人考察は、2020年に吉本芸人への愛を一冊にした東野幸治からも後継者としてお墨付きだ。千鳥、かまいたちなどの売れっ子芸人から、衝撃を受けた渡辺直美の存在、人気急上昇中のオズワルドなど、徳井が劇場や共演で観て来た、才能ある芸人が絶望から這い上がる姿を、その熱い文章とは裏腹に淡々と語った。(前編後編の前編)

【写真】愛ある芸人考察に定評がある平成ノブシコブシの徳井健太

──『敗北からの芸人論』を拝見し、芸人への考察眼や愛情が溢れていると感動しました。と共に現役の芸人でいながら、どうして他の芸人の素晴らしさを公に出していこうと思ったのか? とも。 


徳井 公に出してね、確かに(笑)。昔は、少しは僕も尖っていて、芸人はベラベラ喋らずに面白いことだけを言えばいいみたいな、大喜利がうまけりゃカッコいいという考え方だったんですよね。

──きっかけがあったのですか?

徳井 先輩で元・ハローバイバイの金成公信さん(現・吉本新喜劇・千葉公平)が舞台でMCをやっているのを観ていて、「こんなに視野が広くて若手に振ったり、フォローもできる先輩がなんで売れないんだろう?」みたいなことを同期と話すことがよくあったんです。本番中にそういうことを言うのはさすがにタブーだけど、最近は年も取ったせいか、面白い大喜利のギャグを思いつく前に、「もっとこうしたほうがいいのにな」というのが先に頭に浮かんできちゃう。そこで言ったことを文字に起こしてみたら、こういうことになりました(笑)。

──徳井さんは、東野幸治さんから、「何をモチベーションにしているの?」と聞かれたときに、「自分が才能あると思う先輩や、後輩が売れること」「もっと影響力を持って、好きな先輩や後輩を助けることができたらと思います」と答えています。

徳井 「いいものは、いい」とは、ちゃんと言いたいんです。最初に渡辺直美に出会ったときは衝撃でした。圧倒的に華があるし、男女問わずにあんなに面白いヤツはいなかった。でも、(相方の)吉村(崇)がテレビで直美をフィーチャーすれば話題になるし、例えばさんまさんが「こんな面白いやつがおるんや」って言えばテレビに出られるのに、僕が、「こんな面白い人がいるんですよ」と言っても売れないのが歯がゆくて。

でも東野さんは、「それでいい」って、「喫茶店のマスターみたいになったらええんちゃうの?」と言ってくれました。「疲れた人、喉が渇いた人に美味しいコーヒーを出す。そんな人が芸能界に1人ぐらいいたっておもろい」と。


RECOMMENDED おすすめの記事