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UPDATE|2022/03/21

「悪党ども力を合わせよう」不良ファッション界のトップランナーがウクライナ人道支援Tシャツを発売した真意

オンライン取材にこたえる石川智之氏

「今、動かなけりゃ男じゃねぇ。悪党ども、力を合わせて支援しようぜ!」被害が拡大の一途をたどるロシアのウクライナ軍事侵攻。アウトロー洋服通販ショップ「バースジャパン(BIRTHJAPAN)」の悪羅悪羅社長・石川智之氏が義憤に駆られて立ち上がった! 日本赤十字を通じて、1枚ごとに1000円をウクライナ人道危機救援金に寄付するチャリティTシャツ販売を決めたのだ。果たして、そこにはどんな真意があるのか? 緊急リモート取材で、不良ならではの熱くストレートな想いを語ってもらった。

【写真】レディースサイズも、バースジャパンが発売したウクライナ人道支援チャリティTシャツ

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 バースジャパン(BIRTHJAPAN)は不良ファッション界のトップランナーとして、その界隈ではよく知られる通販ショップである。ピコ太郎のド派手なアニマル柄衣装をはじめ、Vシネや不良映画へ数多くの衣装を提供。「ヤクザ、ゴロツキ、ドチンピラの専門店」「凡人は秒速で悪党に、悪党は一瞬で極悪人になれる店」を標榜するだけあって、HPを眺めているだけでも凶悪なラインナップに頭がクラクラするほどだ。

しかし、毒々しいキャッチコピーが並ぶ中に「ウクライナ支援企画」という異質の文言が存在する。ロシアのウクライナ侵攻に心を痛めた石川智之社長が急遽立ち上げたプロジェクトだという。リモート取材でその意図を尋ねたところ、「いや、だって普通におかしいでしょう? 誰がどう考えても」と身を乗り出して語り始めた。

「あからさまに困っている人がいるんだから、力になりたいと考えるのは人として当たり前の話。ちょっと今回ばかりは傍観者ではいられないんです。見て見ぬふりなんてできっこない。よく『弱きを助け、強きを挫く』とか言いますけど、この戦争で強きを挫こうと思ったら相手はロシア国家になりますよね。さすがにそれは無理という話になるかもしれない。でも、弱きを助けることは誰だってできますから。『困っている人がいたら助けましょう』というのは小学校に入る前に習うようなことなので、中卒の俺だってわかります」

 ウクライナに向けた石川社長の想いは真剣そのものだ。HP上には「侵略戦争を許すな」「これは決して無視してはいけない問題」「他人事ではない。一人一人が行動しよう」と熱い檄文が並んでいる。連日、報道される戦火の様子を見て「ヤクザよりタチが悪い」と感じることもあるらしい。

「ヤンキーや暴力団組織の抗争だって、さすがに相手の家族を巻き込むような真似はめったにしないですよ。非常にまれにありますけどね。戦争が腐っているのは、死んでいく犠牲者の中に戦っていない人もいるし、子供やお年寄りも大勢いるわけじゃないですか。本当に見ていて心が痛む。あり得ないことが現実に起こっているんです。俺もガキの頃からケンカは散々してきたけど、揉め事って勝っても“返し(報復)”があるから結局は不幸の連鎖になるんですよ。それは戦争も同じ。マジでくだらない」

 石川社長がここまでに肩入れするのには、もうひとつ別の理由もある。仕事上のパートナーにウクライナ人のデザイナーがいるのだ。
AUTHOR

小野田 衛


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