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UPDATE|2022/05/04

5カ国にルーツ『ViVi』モデル嵐莉菜「日本生まれで日本育ち、でも自分は日本人と言っていいのかな」

嵐莉菜 撮影/山田健史

日本、ドイツ、イラン、イラク、ロシアと、5カ国にルーツを持ち、雑誌「ViVi」の専属モデルとして活躍する嵐莉菜の映画初出演・初主演作『マイスモールランド』が、5月6日に劇場公開する。嵐が演じるのは、埼玉に住むクルド人の高校生・サーリャ。幼い頃に生活していた地を逃れて来日し、日本の同級生らと共に“日本人らしく”暮らしてきたサーリャだったが、ある日、家族とともに難民申請が不認定となったことで、苦しい境遇へと立たされていく。自身の経験にも重なることがあったという同作への思いや、今後の展望などを嵐に聞いた(前後編の後編)。

【写真】「あの美少女は誰?」とSNSでも話題に、『ViVi』モデル嵐莉菜の撮り下ろしカット【8点】

【前編はこちら】在日クルド人少女を熱演・嵐莉菜、マルチルーツの私が「絶対にこの役をやりたかった理由」

──サーリャの境遇には共感するところがあるとおっしゃっていましたが、嵐さんは実生活の中で他人からの見られ方について気になることはありますか?

嵐 私はサーリャのように自分のルーツを隠しているわけではないんですが、自分も同じ日本人として扱って欲しいと思っているので、聞かれるまでは言わないようにすることが多いです。それでもよくあるのは「どこから来たの?」と言われることですね。私は日本で生まれたし日本で育っているから、日本が母国なはずなのに「母国じゃないのかもしれない」と思ってしまう。

「日本です」と答えても、外見的にそう見えないし「え、そうなの!?」と言われることもよくあります。興味を持ってもらえることはすごくうれしいのですが、自分の中では「私ってやっぱり外国人なんだ」と考えてしまう。もちろん相手に悪気がないのはわかっているのですが、自分をちょっと嫌になってしまうきっかけにはなっていたと思います。

食事に行って外国語のメニューを渡されることもあって、「最先端だな、すごいな」とは思うんですが、「日本語のメニューで大丈夫です」と言うと、「日本語話せるんですか?」と言われる。傷付くわけじゃないんですけど「やっぱり外国人って判断されてるんだな」って思いますよね。自分は日本人だと思って生きているけど、そういうことがあると「自分は日本人と言っていいのかな」と考えてしまっていました。

──なかなか答えの出る問題ではないとは思いますが、嵐さんが世の中に変わってほしいと思うことはなにかありますか?

嵐 「自分が言ったことに対して、相手がどう思うか」って、わからないものじゃないですか。「今の言葉に傷付いた」とはなかなか言えないし。国籍とか外見の問題だけでなく、人との接し方自体が難しいと思うんです。相手のことを本当にはわからなくてもいいから、「どう思うんだろう」と相手を知ろうとするきっかけに、この作品がなったらいいなと思っています。年齢、性別問わず、共感できる部分がこの作品にはあると思うので、様々な方に見ていただいて「身近にこういうことがあるんだ」と知ってもらえたらすごくうれしいです。
AUTHOR

山田 健史


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