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UPDATE|2016/03/26

ハコイリ♡ムスメ・内山珠希卒業ライブレポート

女優志望のメンバー7人による清純派アイドルグループ・ハコイリ♡ムスメ。おニャン子クラブやチェキッ娘・CoCo・ribbonなど80~90年代のアイドルのカバー曲とその時代を彷彿とさせるオリジナル曲によるライブパフォーマンスと、その清楚イメージからは予想外なほどはじけたMCが魅力の彼女たち。特にその定期公演は、“清純派&rdquo:というイメージで終わらせない楽しさが詰まっていて、他のアイドルの定期ライブとはまたひと味違った魅力がある。

 その中でも高1ながら大学生かOLにすら見える大人びた顔だちと、そんな見た目とは真逆な天真爛漫で無邪気すぎる言動で「ハコイリ♡ムスメなんだけど箱から出すぎちゃう子」と言われ続けてきた内山珠希が「美容方面に進みたい」とハコムス及び芸能界引退を発表。そして去る3月20日の定期公演『ハコイリ♡ムスメ定期便3月号~君がくれた、かけがえのないもの~』で最後のマイクを置いた。しかしその最後は、涙涙の卒業公演らしい空気から、3月の秋葉原を彼女が大好きなハワイの夏気分に一変させる異色のラストライブに。


 「まあ、それが内山珠希らしいかな!」とメンバーからの不満を全てスルーして、卒業公演スタート。初のオリジナル曲『微笑みと春のワンピース』に内山が「一番かわいい声が出せる」と自信の曲『約束のポニーテール』(オリジナル:三浦理恵子)を披露する。

 さらに『baby blue』、『夏色キッス☆』、『レモンドロップ』(いずれもアイドリング!!!)、『Be My Diamond!』(ribbon)、『なかよし』(上田愛美)など内山の思い入れのある曲を中心にファンに届ける。


 そしてメンバーひとりひとりから内山への手紙が贈られる。卒業公演での残るメンバーから卒業メンバーへの手紙というと定番のもの。ただこれが一人目の我妻桃実から「ハコムスがはじまった時は正直珠希ちゃんが好きじゃなかったよ」と正直すぎる告白に場内爆笑。さらに「同じ歳とは思えない、制服が似合わない子だなと思った」(阿部かれん)、「レッスンや楽屋では足かけや背負投げをしてきたり、本気で嫌いになったこともあります」(小松もか)と暴露連発。ただそれも内山のカラッとした性格ゆえ言えること。


 公演も終盤、女優志望のメンバーを集めたハコムスならではの楽曲に絡めた芝居を見せるコーナー「劇団ハコムス」から、ラストナンバーはおニャン子クラブの『じゃあね』。別れと旅立ちを胸に刻む歌詞はメンバーにもより強く響き、歌声には涙声も交じる。そして歌を終え、内山が最後のマイクを手にする。「皆さんとの思い出は一生の宝もの。わたしは明日から普通の女の子になります。陰ながら応援してくれると嬉しいです。いままでありがとうございました!」そう力強くファンに礼を述べると、山口百恵のようにマイクをセンターに置いて去っていった。

 そして卒業公演はここからがまさかの本番。アンコールの声に応えて流れてきたのはまるで南の島のような波音。そして袖から登場したのは内山の決め台詞「LOVE PEACE WORLD」が書かれたTシャツに身をまとったハコムスメンバー、そしてリゾート感300%なワンピースに巨大な花冠、ティアドロップをかけた内山。そして曲はMINMIの『シャナナ☆』だ。真夏感しかないアッパーなソカ・チューンに客席もタオルブン回しての沸きっぷりで、いつものハコムスではありえない、まさにパリピ状態。



 「アンコール前までしんみりしてたのに、終わって出てきてこれかよ!」のメンバーのツッコミに「いや~、このアンコールを楽しみにしてて。ぶっちゃけアンコールのことが頭にあって、本編あんまり泣けなかったんですよ!」と本編の感動を台無しにする内山のひとこと。それで全部会場を笑いに持って行くのが彼女の憎めなさだ。そこからもうひとつ夏ムードをアゲるべく『海へ行こう~Love Beach Love~』(チェキッ娘)。そしてもう今日を逃すと解決できない、とファンなら皆知っている「メンバーの唐揚げを食べ過ぎて険悪に」というアイドルらしからぬ事件「唐揚げ戦争」の謝罪も。


 しがらみを解決したところで「次の曲でほんとに最後です。ここは夏だから、ハワイの海だから! 最後まで盛り上がってくれますか!」と最後の曲に選んだのは、彼女のセンター曲『夏に急かされて』。オリジナル曲ではじめて彼女がセンターに選ばれ、解放的でダンサブルな曲調など内山のイメージをふんだんに盛り込んだ曲だ。しかも曲中の決め台詞「LOVE PEACE WORLD」がこの日は4度も繰り返されるスペシャルバージョンで、しかも客席に降りて観客全員で叫ぶシーンまである大盤振る舞いで、卒業公演とは思えないくらい客席を笑顔に変えた。全てを「内山珠希だからしょうがない」と言わせるだけの脳天気なハッピーさで、あらためて強烈に記憶を残すアイドルだった。そんな彼女だけに、気が向いたらまたひょっこり表舞台に出てきそうな気もしないでもない。


 またこの日は4月から加入する新メンバーのお披露目も行われた。その中で4月定期公演から参加するのは星里奈(13)、吉田万葉(12)、井上姫月(10)の3人。下は小学生まで加わった新生ハコムスがどんな公演を見せてくれるのか楽しみだ。


(text 大坪ケムタ)

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