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UPDATE|2022/05/15

脳科学者・中野信子が語る“不倫”願望の男女差「心理状態の差異は本質的にはない」

中野信子 撮影/松山勇樹

著名人の不倫騒動が日々世間を騒がせる昨今、ある調査では、恋人や結婚相手以外の人とセックスをしている性交経験者の割合は男性が4割強、女性が3割強だという。以前『不倫』(文春新書)で脳科学者の目線で“なぜ不倫は減らないのか”を説いた中野信子が、今回国際政治学者の三浦瑠麗による共著『不倫と正義』(新潮新書)を企画し、発売直後から大きな話題になっている。今回改めて中野信子に、人はなぜ不倫をするのか…話を聞いた。(前後編の後編)

【写真】脳科学者・中野信子、撮り下ろしカット

【前編はこちら】脳科学者・中野信子が語る“不倫”が大バッシングされる理由「個人が社会正義を行う構造」

──不倫をしたいという願望に男女差はあるのでしょうか。

中野 男女差はないんじゃないですかね。不倫といっても、いろいろな形があります。既婚男性と未婚女性という組み合わせが一般的だと思われていますが、決して一般的ではないです。未婚男性と既婚女性だったり、どちらも既婚であったり、あるいはどちらも婚姻関係にはないけれども複数の人とお付き合いをしてたり。そこそこバリエーションがありますし、主観の問題でもあるので、比較は難しいですよね。性差というのはあまり考えなくてもいいのではないでしょうか。非対称があるとすれば、経済構造ですよね。

いまだに男性に比べて、女性は収入が少ないですから、それが不倫にも関係するのではないか。あともう一つ、育児行動に対する非対称がどうしてもあります。バイオロジー(生物学)の非対称性があるので、それが心理状態に効いてくる部分もあるかと。ただ婚外交渉に対する心理状態においては、男女の差異は本質的にはないんじゃないかと思います。

──女性の地位が高まってきて、不倫が増えたという傾向はありますか?

中野 女性の経済的な裁量権が大きくなったということは無縁ではないと思います。最近は「ママ活」という言葉が聞かれると思うんですけど、それをする女性というのは少なくはないんだろうなと。

──ママ活アプリというのがあるぐらいですからね。

中野 ママ活は比較的、経済状態に余裕がないとできませんので、そういうのもあるのかとは思います。あと既婚女性が婚外交渉をしたときに、離婚という帰結もある訳ですよね。そうなったときに、自分の経済状況に余裕があれば、そういう行動を取りやすいだろうなとも思います。

──昔から結婚前に女遊びをした男性は、結婚すると遊ばなくなるみたいな通説がありますけど、実際はどうなのでしょうか。

中野 実際に統計を取ったのかどうかという問題もありますが、やっぱり遊ぶ人は遊ぶと思うんです。生理的に多くの人に目移りするという人が、年齢を経たからといって変わるとは考えにくい。婚姻関係を結んでからは目立たないようにしているとしか理解できないですね。

AUTHOR

猪口 貴裕


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