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UPDATE|2022/06/29

ミュージシャン・中島卓偉が語る独立の意図「やっぱり自分はライブをする人生じゃないとダメ」

中島卓偉

ソロ活動に加え近年はアンジュルム、つばきファクトリー、Juice=Juiceなどアップフロント系アイドルに多数の楽曲を提供、アイドルファンから「兄貴」と慕われるなど、新たなファン層を獲得していたロックミュージシャン・中島卓偉。今年3月末に所属事務所・ジェイピィールームおよびアップフロントグループを退所し、新たな個人事務所を設立。現在はロックミュージシャンとして活躍しながら代表取締役社長としても精力的に動き回り多忙を極めている。今回は中島卓偉に独立に至った心境に迫った──。(前中後編の前編)

──まずは独立、おめでとうございます。単刀直入にお伺いしますが、18年間もいたジェイピィールームおよびアップフロントグループをなぜ退所することになったんですか?

卓偉 ありがとうございます。正確に言うと、アップフロントの前の事務所に僕は10年いたんですよ。そこからアップフロントレーベルに所属して18年、マネジメント所属したのが12年前、そして今年の4月から独り立ちという流れになります。これはいろいろなところで言っていることなんですけど、今回はすごく円満な離れ方ができたんですね。役員の方々も含めて、お世話になったスタッフには自分から長文のメールを書かせていただきましたし、「頑張れよ」「これからも変わらず仕事ではつき合っていこう」と温かい声もかけていただきました。よく言われるんですよ。「揉めて誰かをブン殴ったんじゃないか?」とか「アイドルに手を出したんじゃないか?」とか(笑)。一切、そんなことないですから!

──そんな声もあるんですね(笑)。

卓偉 それで肝心の退所する理由というのはですね、特に不満があったというわけでもないんです。だけど僕はもともと自分で曲を全部書き、自分で歌ってパフォーマンスをする人間だったので、そもそも大きい会社には向いていないというのもあったんです。これは本当に上層部にも「辞める理由は何だ?」と聞かれたので、「デカい会社が向いていないんですよ」ってはっきり言いました。大きな組織だとレスポンスの速度とかも変わってきますしね。

──風通しのよさからも円満なのは伝わってくるのですが、不満がないのなら現状維持で残っていてもいいのでは?

卓偉 実は前の事務所を辞めたタイミングでも独立しようと考えていたんですね。だけど、当時アイドル事務所として名を挙げていたアップフロント側から「アイドルもやってはいるけど、お前みたいなロックをやる人間も欲しい。一緒にやろう」と声をかけてもらえて。一方で僕の方も一度中に入ることで、アップフロントならではのやり方を学ぶことができるだろうという考えがあったので、これも何かの縁かなと思いまして所属した形なんです。

──なるほど。両者の思惑が一致したということですか。

卓偉 そう。実際にそのあと、僕はアイドルに楽曲提供するという以前では考えられない動きもできたわけですしね。だけど最初から分かってもいたんですよ、いつまでもここにはいられないだろうなって。社長からも、冗談めかしてではあるけれど「来てくれることは大歓迎するけど、お前ここ絶対に向いていないよ」とか言われましたからね(笑)。「辞めたくなったら、一番最初に俺に言ってくれ」とも伝えられました。なので今回もいの一番でその社長に報告しに行きましたね。「何でこの時代に独立とか考えるんだ。でも、お前らしい。会社としては今後も変わらず全面協力するから」と。

──相思相愛の関係だったんですね。

卓偉 その社長は同じ福岡出身ということで可愛がってくれていたんですよ。ついでに言うと社長は“歴史好き”という共通の趣味があるものだから、よくメシとか連れていってもらって歴史の話を延々としていました(笑)。そういう面でも恵まれていたというか、自分にアップフロントは合っていたんだと思う。じゃなかったら18年もいなかっただろうし。

CREDIT

取材・文/小野田衛


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