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UPDATE|2022/06/29

「結婚」「音楽のジャンル」「ソロ活動」中島卓偉、ロックミュージシャンとしての葛藤の23年を語る

中島卓偉

ソロ活動に加え近年はアンジュルム、つばきファクトリー、Juice=Juiceなどアップフロント系アイドルへ楽曲提供でも注目を集めているロックミュージシャン・中島卓偉。今年3月末に所属事務所・ジェイピィールームおよびアップフロントグループを退所し、新たな個人事務所を設立。現在はミュージシャンとして活躍しながら代表取締役社長としても精力的に動き回り多忙を極めている。今回はそんな卓偉に「結婚の公表と父親としての自覚」「デビュー当時の戸惑い」「ソロになるまでの葛藤と経緯」などディープな話を語ってもらった。(前中後編の中編)

>>前編はこちら

──2017年に『我が子に捧げる PUNK SONG』というシングルリリースに伴い、結婚やお子さんについて公表されました。このことはご自身の活動に変化を与えましたか?

卓偉 まず大前提として自分の考えとしてあるのは、「結婚を公表する義務はない」ということなんです。だけど、公表しないと「隠しているのか!」とか責められることも日本では少なくない。これがまず納得いかないんですよ。海外ではガールフレンドだって堂々とレッドカーペットを歩くし、不倫をしたって謝らない。別に僕も不倫を推奨しているわけじゃ全然ないけれど、そんな個人のことを公にする必要があるのかは疑問ですよね。

──ミュージシャンに限らず人気商売の方々は、結婚を公にしない傾向が昔から強いですよね。

卓偉 もちろん僕だって結婚するときは会社に相談しましたよ。「僕は言う方向で構わないと思いますが」と言ったら、「いや、わざわざ自分から言う必要もないだろう」ということになって、しばらくはそのままにしていたんです。ところがしばらくすると子供を抱っこしているところを見られ、そういう方が事務所に「何で公表しないんですか?」とか言ってくるんだけど、会社としても返答のしようがない……そんな出来事も多々あったんです。

──改めてすごい世界ですね……。

卓偉 『我が子に捧げる PUNK SONG』は父親としての自覚や覚悟が歌詞に反映されているだけでなく、「公表する義務もないのに、何でそんな犯罪者みたいに追及されなきゃいけないんだ」という似たような境遇にいる同業者とか後輩に対するメッセージにもなっています。この曲を世に出すにあたって、ZIGGYの森重樹一さんがすごくいいアドバイスをくれたんですよ。「ファンをふるいにかけろ」って。「出した結果、離れていくファンがいても構わないじゃないか。むしろ、それによって本当のファンが残るはず。そんなことで悩んでいる時間がもったいないし、そのくらいの気持ちでやれ」って。それを聞いて、なるほどと決心がついた部分は大きかったですね。

──そういえばTHE YELLOW MONKEYの吉井和哉さんも、結婚していることを隠すように会社から言われたのが苦しかったと、自著『失われた愛を求めて―吉井和哉自伝』(ロッキング・オン)の中で告白していますよね。

卓偉 僕も読みましたが、吉井さんがこれだけ苦しむ日本の音楽シーンって何なんだろうなって考えさせられました。本の中では、ロンドンでのレコーディングに家族を呼んで長女を抱っこしている写真も載っていましたよね。すごく美しいカットだなって僕は感動しました。ジョン・レノンが息子のジュリアンに語りかけているのと同じですよ。何で同じことが日本の芸能界ではできないのか? そういった疑問は常に抱えていましたね。

──ただ、結婚を公表したことで女性ファンが離れていくことは想定できますが、卓偉さんのファン層は男性も多いですよね?

卓偉 そうですね。昔から野郎ファンは多い方だと思っていたのですが、今回、独立にあたってファンクラブを再募集する中で男性ファンの応募の多さに改めて驚きました。それは『我が子に捧げる PUNK SONG』の効果もあったかもしれないし、ハロー!のアイドルを通じて僕に興味を持ってくれた方もいるかもしれない。本当に感謝しかないですね。男性ファンは、一度好きになってくれたら長いつき合いになりますから(笑)。

CREDIT

取材・文/小野田衛


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