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UPDATE|2022/06/29

アップフロントからの独立・中島卓偉が語る今後「ハロプロはもちろん、ハロプロ以外にも曲を」

中島卓偉の最新デジタルシングル『風に飛び乗れ』

ソロ活動に加え近年はアンジュルム、つばきファクトリー、Juice=Juiceなどアップフロント系アイドルへ楽曲提供でも注目を集めているロックミュージシャン・中島卓偉。今年3月末に所属事務所・ジェイピィールームおよびアップフロントグループを退所し、新たな個人事務所を設立。現在はミュージシャンとして活躍しながら代表取締役社長としても精力的に動き回り多忙を極めている。今回はそんな卓偉が新章に突入する自身の活動内容について前のめりで激白してくれた。(前中後編の後編)

>>前編はこちら中編はこちら

──独立を機に、具体的な音楽性や活動形態に変化は出るのでしょうか?

卓偉 ここまで23年間やってきて、僕もいろいろなことに挑戦してきたんですよ。アコギばかりのアルバムも作りましたし、激しいバンドサウンドだけのアルバムも作った。それで今の僕が何を考えているかというと、ファンの望むことをストレートに出していきたいなということなんです。せっかく独立一発目なんだから、自分の一番コアな部分を存分に出し切りたいなと。おそらくファンもカルピスの濃い原液部分が欲しいと思うんですよ。薄まっていない中島卓偉を求めているというか。

──8月13日から始まる東名阪ツアーも、ギター、ベース、ドラムだけのストレートなバンドサウンドが期待できそうです。

卓偉 そもそもバンド形式でのライブは2年以上まともにやれていなかったわけだから、僕自身もそうだけど、ファンだってフラストレーションが溜まっていたはず。古い曲も含めて、みんなが望む中島卓偉を出し惜しみなく提供していきます!

──5月に配信リリースされた『風に飛び乗れ』もポップかつハードな卓偉節が全開でうれしくなりました。

卓偉 もともと歌も一発撮りで、ライブ感を出していきたいタイプなので、オーバープロデュースされたものではなく生々しい手触りは大事にしたいんです。今の音楽は打ち込みが主流になっているけれど、僕は14歳のときからずっとバンドで叩き上げてきたものだから、生演奏のグルーヴじゃないと本気を出せない身体になっている。間もなく次の新曲を発表する予定ですし、アルバムも年内には出せると思う。そのアルバムはアクティブな楽曲が増えるんじゃないかな。なぜかと言うと、それはやっぱり激しい曲を自分がやりたいから(笑)。ここからは本当に一気呵成に攻めていくつもりです。

──アイドルに楽曲を提供するようになる前と後では、卓偉さん自身のソングライティングにも変化は出ましたか?

卓偉 当然ありました。ハロプロの制作陣っていうのは、ものすごく音楽的にマニアックな方が多いんですよ。僕も音楽マニアということに関しては人後に落ちないつもりで、「僕と同じレベルで音楽を語れる奴はいない」くらいに考えていたんですよね。でもハロプロのスタッフはすごく幅広い切り口を持っているし、アイドルのヒット曲を作るためのノウハウもある。やりとりをしていてハッとすることも多かったし、すごく深い信用関係が築かれているのは間違いないです。アイドルとか関係なく、学ばせてもらったことは本当に多いですね。

──そういえば卓偉さんが作曲を担当したつばきファクトリーの最新曲『アドレナリン・ダメ』はリリース前に再生回数100万回を突破。ファンから絶大な支持を集めています。

卓偉 いや、もう本当にそれはうれしい! つばきに限らず、ハロプロには引き続き全力で曲を書き続けるつもりなので、そこは期待していただけたらと思います。結局、僕は自分の名前でこれまで活動を続けてきたけれど、ヒット曲らしいヒット曲もなかったわけですね。だからハロー!の中で自分の曲がきちんとヒットに繋がったことは、作曲する人間として率直にうれしかった!

──具体的な数字で評価されますからね。

卓偉 毎回ものすごい数の曲がコンペに上がる中、自分の曲がスタッフから目をつけられて、しかもそれがシングルのA面に選ばれる……これは想像以上に大変なんですよ。もうそこは自分の中でプライドに関わる領域かもしれない。逆に「売れなかったら分かっているんだろうな?」という無言の圧力も感じて、発売日までは胃が痛くなる思いもしますが(笑)。もっとも『アドレナリン・ダメ』の成功に関しては、メンバーの頑張りも非常に大きかったと思いますけどね。

──「頑張り」とは?

卓偉 あの曲のポイントは、どうやってファンキーさを出すかということなんです。ファンキーさを出すアプローチというのはいくつかあって、たとえばドラムの叩き方を跳ねさせる方法もそうだし、跳ねたループをプラスしていくようなやり方もある。でもね、僕に言わせれば一番大事なのは歌う人間のリズム感なんですよ。音の伸ばし方、切り方、ブレス。だから、それを僕は仮歌に入れて納品するんです。絶対、仮歌の方には依頼しない。ディレクター陣も書いた本人である卓偉の歌が一番イメージに近いと理解してくれているから、「このまま練習させるね」と言ってくれましたし。

CREDIT

取材・文/小野田衛


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