──自分では向いていないと思っていたにもかかわらず、番組のレポーターになった経緯は?
熊井 『王様のブランチ』は昔から好きな番組だったし、自分の意志でオーディションに応募しました。トークは苦手だったけど、ソロになったんだから何事にもチャレンジしたいという気持ちもありましたね。あのオーディションは、応募枠に限りがあり、事務所内では私だけが応募できることになりまして、うっかり「事務所の代表」みたいな感じになっちゃったから、ものすごく緊張しました。会社の期待を一身に背負っているみたいに感じちゃって……。なんだったら、ハロー!プロジェクトキッズオーディション以来のドキドキ感でしたよ。
──8歳のとき以来の緊張ですか(笑)。
熊井 しかも、なかなか返事が来なかったんです。「あぁ、ダメだったか……」と諦めていたところに決まったという連絡が届いたから、喜びもひとしおでしたね。
──実際、レポーターに就任してみていかがでした?
熊井 私って本当にしゃべれないんだなって(笑)。いや、分かっていたつもりなんですけどね。でも、改めて再確認したというか。毎週、収録のたびにマネージャーさんと反省会をしていましたよ。番組のスタッフさんに相談したこともありましたし。ものすごく悩んでいました。
──おそらくですが、視聴者や番組スタッフは熊井さんに商品の克明なスペック説明などは求めていないはずです。ご自身では、どういったレポートを心がけているんですか?
熊井 そこなんですよね、一番の悩みどころは。どういったことを伝えるのか? あるいは、どういうふうに伝えるのか? こればかりは答えが出なかったです。だけどひとつだけ確実に言えるのは、私が楽しんでレポートしないと観ている方も楽しくないだろうなってこと。とはいっても、最初の頃は緊張して笑顔もぎこちなかったですけどね。それじゃダメだってことで心がけるようにしたのが、Berryz工房時代も大事にしていた私のキャッチフレーズですよ。……「ENJOY!!」。
──なにもそんな綺麗にまとめなくても結構ですよ(笑)。
熊井 いやいや、笑うかもしれないですけど、本当にそこに1周して戻ってきたんですって! 「ENJOY!!」精神を思い出した瞬間、いい感じで肩の力が抜けていくのが自分でも分かったんです。そこから番組のスタッフさんに褒められることも増えましたし。それとアーティストさんをレポートするときは、自分もレポートされる側だったから、どう聞かれたら答えやすいか分かる部分もあるんですね。最初は専門でやっているレポーターさんみたいに上手にやろうと考えていたんですけど、今までの経験を活かせばいいんだと発想を変えることができました。
──繋がっているんですね。
熊井 そうなんですよ。やっていることは180度違うはずなのに、今までの経験がどこかで活かされることになるんです。今、そのことをすごく実感していますね。