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UPDATE|2019/02/17

モーニング娘。が救った「安室奈美恵になれなかった少女たち」

モーニング娘。と山一證券、モーニング娘。と小泉構造改革、モーニング娘。とミレニアム問題……。ニッポンの失われた20年の裏には常にモーニング娘。の姿があった! アイドルは時代の鏡、その鏡を通して見たニッポンとモーニング娘。の20年を、『SMAPと、とあるファンの物語 -あの頃の未来に私たちは立ってはいないけど-』の著書もある人気ブロガーが丹念に紐解く。『月刊エンタメ』の人気連載を出張公開。2回目は1998年の話。

1998年3月、『モーニングコーヒー』が発売されてまだ1カ月半のモーニング娘。は、『ASAYAN』の収録で初めての〝重大発表〟を聞いた。

「増やしましょうか」

CD5万枚手売りというドラマを経てメジャーデビューを勝ち取ったモーニング娘。は、デビューシングルが初登場6位と好成績を記録し、有名歌番組への出演、写真集の発売などその後も順調に活動を続けていた。

しかしセカンドシングルに向け話し合いを行っていたスタッフたちは、その状況を「危険」と表現する。 目標のデビューを見事達成してしまった少女たちに、どうすれば高い意識を保ったまま活動を続けてもらうことができるのか。そこでプロデューサーのつんく♂が提案したのが、メンバーの増員だった。

「モーニング娘。は5人でしょう」

発表を聞いた中澤裕子や石黒彩はそれぞれ湧き上がる怒りを全く隠すことなく口にした。が、同時に、安倍なつみは戸惑いながらもこんなコメントを残す。

「新しい人たちも、私たちと同じくらいやる気があるならいいと思います」

初めて行われた追加メンバーオーディション。約5千人の応募の中から300人、16人と絞られていく過程で、保田圭、矢口真里、市井紗耶香の3人は自然と会話を交わすようになっていた。 

当時保田が17歳、矢口が15歳、市井が14歳。あまり年齢の変わらない集まりだったが、実は矢口は、保田のことをかなり年上だと勘違いしていたという。

「圭ちゃんは第一印象がすごい年上の人って感じだった。スーツを着て、髪は超ロングでメッシュが入っていて、カラーコンタクトをしていて」

保田圭のこの服装は、当時絶大な人気を誇っていた安室奈美恵をイメージしたものだった。当時を振り返った保田自身の言葉がある。

「歌やステージだけじゃなくて、安室奈美恵さんみたいに生き方もカッコいい女の人になりたい」

AUTHOR

乗田 綾子


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