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UPDATE|2022/09/24

板谷由夏がホームレスに転落する女性に「頑張り続けているのに『助けて』が言えない人はたくさんいる」

板谷由夏 撮影/武田敏将

板谷由夏が高橋伴明監督の最新作、映画『夜明けまでバス停で』に主演する。本作は、バス停で寝泊まりしていたホームレスの女性が突然襲われる、という2020年冬に起きた事件をモチーフに、誰しもが置かれるかもしれない“社会的孤立”を描いた社会派ドラマ。コロナ禍でホームレスに転落してしまう主人公・三知子役を演じた板谷に、役作りや本作で伝えたいメッセージなど話を聞いた。(前後編の後編)

【前編はこちら】板谷由夏17年ぶりに映画主演「高橋伴明さんが映画を撮るなら断る理由が1つもない」

【写真】17年ぶりに映画主演する板谷由夏の撮り下ろしカット【8点】

──主人公の三知子は、コロナ禍によって仕事と家を同時に失い、ホームレスに転落してしまう役どころです。三知子に共感できる部分はありましたか。

板谷 人のことなら心配して言葉に出せるような、おせっかいなことも出来るのに、自分のことになったらいきなりシャッターを閉めちゃって、素直になれない。そういう意地っぱりさ。それは私にもあるから、すごく分かるなと思いました。でも、女性ってみんなどこかしら、そういう部分があるんじゃないかな。素直にきついとか、言えないことも多いじゃないですか。そこは同じように共感してもらえるんじゃないかなと思います。

──三知子を見ていて「こうしたらいいのに」と思ってしまった部分もありましたか。

板谷 そうですね。私だったらもっと「助けて」を言うかなぁとは思いましたけど、三知子はなんで言えなかったのかな……。難しい部分ですよね。三知子は家族関係がうまくいってなかったし。きっと、同じように頑張り続けているのに「助けて」が言えない人ってたくさんいるんだろうなと改めて思います。

周りに助けてくれる人が必ずいるから頼ってほしいと思う気持ちもありますけど、お金のこととか人に言いにくいし。本当に難しいなと思います。

──自分から言い出すのも難しいですし、手を差し伸べても素直に受け取ってもらえないこともありますよね。

板谷 自尊心なんでしょうね。やっぱり日本の教育ってもともとが耐えるもの、我慢や忍耐が美徳みたいな考え方があって。人に助けを求めるなんて恥とか、意地を張れとか。そういう教育だったから、「助けて」と言えないことにも気付いてない方が少なくないのかもしれない、と思います。

三知子は前の旦那の借金を返していたくらいだから、自分で何とかしようという気持ちも強いんでしょうね。だからこそ、誰にも助けを求められずにバス停に寝泊まりするホームレスにまで落ちてしまう。そういう環境でずっと生きてきていたら、簡単には「助けて」と言うことすら出来ないのかなと思いました。


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