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UPDATE|2019/03/10

中澤裕子がモーニング娘。に教えた「別れの意味」


2001年9月11日、突然テレビ画面に映し出されたのは黒煙に包まれた2つのビル、そしてそこに旅客機がさらに突入する、その瞬間だった。

現地時間の朝に起きたこのアメリカ同時多発テロ事件では、澄み渡る青空の中、コックピットを乗っ取られた旅客機1機がアメリカ国防総省、そして2機がニューヨークのワールドトレードセンターに次々と突入する。

2度の世界大戦と長い冷戦に苦しんだ20世紀をやっと乗り越え、過去のものとしたはずの2001年の人々は、まさか という形で「日常の崩壊」の目撃者になってしまう。

昨日までとはまったく違う「PEACE」の意味を、探す使命を背負うことになってしまった新しい世紀。その始まりに居合わせた私たちもまた手探りで、もう一度日常とは何か、自分自身に問いながら日々を生き直すことになった。

そしてこのテロ事件以降、実は若きエンターテイナーたちの楽曲にも、また小さな変化が起きている。  歌詞を追うとこの2001年を境に、モーニング娘。の作品には恋心や進路といった年頃の悩みと同列で、「平和を切に願う」普通の女の子の姿が、継続して描かれるようになっていくのだ(※8)。


モーニング娘。12枚目のシングル『ザ☆ピ〜ス!』(2001年7月25日発売)

※1安倍なつみ『ALBUM―1998‐2003』(ワニブックス)
※2矢口真里『おいら―MARI YAGUCHI FIRST ESSAY』(ワニブックス)
※3石川梨華『国語、算数、梨華、歴史!』(エンターブレイン)
※4能地祐子『モーニング娘。×つんく♂2』(ソニーマガジンズ)
※5中澤裕子『ずっと後ろから見て きた』(ワニブックス)
※6安倍なつみ『ALBUM―1998‐2003』(ワニブックス)
※7『モーニング娘。 20周年記念オフィシャルブック』(ワニブックス)

※8「平和」がでてくるモーニング娘。の作品と歌詞(1997~2018年・つんく♂作品のみ)
『そうだ! We’re ALIVE』(02)「努力 平和 A BEAUTIFUL STAR」
『浪漫~MY DEAR BOY~』(04)「平和という無限の情熱がある」
『ラヴ&ピィ~ス!HEROがやって来たっ。』(05)「愛あるから平和なのかな 平和だから愛があるのか」
『歩いてる』(06)「切に平和 願って」
『元気+』(07)「ぐっすり眠れる平和が好き」
『雨の降らない星では愛せないだろう?』(09)「仲良く生きていこう 平和であろうよ」
『あっぱれ回転ずし!』(10)「平和が回ってくる」
『この地球の平和を本気で願ってるんだよ!』(11)「この地球の平和を本気で願ってる」
『この愛を重ねて』(11)「この愛を重ねて 永遠の平和と 夢よ叶えと願ってる」
『地球が泣いている』(12)「100年先の平和を願う 大きな雄叫びを」
『ゼロから始まる青春』(12)「やっぱり平和が良い 老後も安心なら なお素晴らしい」
AUTHOR

乗田 綾子


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