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UPDATE|2019/03/19

井上咲楽が下村博文衆議院議員に聞く「憲法改正ってホントにできるんですか?」

下村博文 井上咲楽



井上 「義務教育を受ける義務がない」というと?

下村 憲法には「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」とあるんですよ。ところが、日本で暮らす外国人は範囲に収まっていない。つまり、子どもに教育を受けさせる義務がないんです。

井上 じゃあ、外国人の子どもは学校に行けないんですか?

下村 いや、教育を受ける権利は誰もが持っています。でも、親が子どもを学校に通わせなければならないわけではないということです。一例として、群馬県に大泉町というブラジル人を中心に多くの出稼ぎ労働者が移住している町があります。そこで問題となっているのが、小中学校に行かず、10代後半、20代となってしまった移住者の子どもたち。彼らは就職しようと思っても字が書けない。読めない。通信制の高校にも入れない。結果的にまともな仕事につけずに貧困が進むという悪循環が起きています。そしてこれは、一家庭の問題にとどまらず、地域全体の貧困化、治安悪化にもつながり、社会全体の課題になっているわけです。

井上 そうなんですね。

下村 これからは入管法の改正もあり、日本で暮らす外国人は確実に増えていきます。国籍は異なっても日本に住んでいるのであれば、義務教育は受けさせるようにしようね、と。そういう視点からの憲法改正も必要ではないかと思うんですね。

井上 憲法改正にすごく慎重になる人の気持ちはよく分かります。でも、一項目でも憲法改正ができて、それが自分たちの生活を良くしていくんだと分かったら、変わっていくのかなとも思いました。

下村 いずれは国民の側から「ここは時代の変化に対応していないんじゃないの?」「私たちがより良く生きる権利として憲法を変えてもいいんじゃないの?」という声が上がり、議論が高まる時代になっていくと思っています。

「取材を終えて」〜井上咲楽の感想〜
今や大学進学がスタンダードになりつつある中で、高卒の私はもどかしさを抱えて日々生きています。下村さんは、教育熱心ながら大学に限らず様々な学び方があっていいと思っている方。学ぶとは受動的ではいけないんだなと思いました。そして、改憲に前向きではありますが、野党との関係にとても苦戦している様子でした。いつだって、「何が目的か」ということも大切に考えなければいけない気がします。


下村議員が <新たに選挙権を得た若い世代> に読んでほしい1冊

『竜馬がゆく』(司馬遼太郎 著/文芸春秋 刊)
私が大学生のときに読んで友達に勧めていたのは、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』ですね。幕末、明治維新への流れを作った坂本竜馬を主人公にした長編小説で、井上さんのような若い世代、10代や20代で読んだら、すごくワクワクする話だと思います。司馬遼太郎作品の中でも読みやすい小説ですから、お勧めしたいですね。あとは私の書いた『志の力』、『9歳で突然父をなくし新聞配達少年から文科大臣に』もぜひ、よろしくお願いします。


いのうえ・さくら
1999年10月2日生まれ、栃木県出身。A型。
Twitter:@bling2sakura
現在は『おはスタ(水曜日担当のおはガール)』(テレビ東京)、『サイエンスZ E R O 』(NHK-Eテレ)をなどにレギュラー出演中!

しもむら・はくぶん
1954年5月23日生まれ、群馬県出身。早稲田大学教育学部卒。
東京都都議会議員を経て、1996年衆議院議員に初当選。現在、当選8回。2012 年12月の第2次安倍内閣にて文部科学大臣を務める。
CREDIT

取材・文/佐口賢作 撮影/松山勇樹


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