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UPDATE|2019/04/07

すべては生き残るために モーニング娘。が選んだ「変化」



「中澤姐さんのやり方ではないし、2代目、3代目のリーダーのやり方でもない。自分なりのやり方で(中略)後輩たちを変に固めるのではなく、個々に伸び伸び活動できるグループを目指しました」(吉澤ひとみ)(※2)

この2005年、矢口の脱退を受けて急遽4代目リーダーに就任することになった吉澤は、もともと自身が飽きっぽい性格であることを自覚しており、それゆえに「変化」こそがこの仕事において大きな魅力であると考えている人だった。

また前年から参加していた芸能人フットサルチーム、ガッタス・ブリリャンチス・エイチピーでの知見もあり、彼女にとってこの2005年の変動は、自分たちの再出発の機会としてすぐに前向きに受け止められていく。

またそんな吉澤の補佐役となった4代目サブリーダー・藤本の場合は、グループ加入前のソロ経験が、すでにどんな状況にも動じない心を身に付けさせていた。たとえ人気が落ちていようと、大切なのはあくまで今。そして付け加えれば、彼女はグループがもう一度浮上するためのきっかけも、この頃からすでに把握していたのだ。

「個人のクオリティーを上げていくのが一番ですね。歌番組も減ってテレビにはあまり出る機会がなくなっても、コンサートは続けていましたし」(藤本美貴)(※3)

そんな2005年。実はこのタイミングで日本社会自体も、総務省統計局の発表によってある現実を突きつけられていたのを覚えているだろうか。

その始まりはこんな一文である。

「我が国の人口は減少局面に入りつつあると見られる」

2005年の国勢調査で、前年に比べて日本の総人口は2万人減少していたことが判明する。しかも続けて発表された厚生労働省の人口動態統計では出生数が死亡数を初めて下回るという、本格的な「高齢化社会」に突入した事実が指し示されており、新聞、テレビなど各メディアはセンセーショナルにこの事実を報道。これをきっかけとして、日本国内で人口減少への危機意識は急速に高まっていくようになった。
AUTHOR

乗田 綾子


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