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UPDATE|2019/04/07

すべては生き残るために モーニング娘。が選んだ「変化」



中でも衝撃だったのはこの人口減によって、現代日本の経済基盤をすべてひっくり返す「変化」のスイッチが、今まさに押されてしまったということであった。増え続ける人口と、若い労働力に支えられた大量生産・大量販売という神話は崩れ去り、社会は「量から質へ」の転換を迫られる。それは私たち1人ひとりにおきかえると、消費者として、また生産者としてどう変わるかという長い問いかけの始まりであったのかもしれない。

そしてその問いかけは偶然にも、テレビ露出によるブレイクという「量」の時代が終わりかけていた、女性アイドルグループの分かれ道にもリンクする。ここでそういえば、と思い出すことがある。社会変化の兆しが見えるこの2005年の夏、モーニング娘。は27枚目のシングル『色っぽいじれったい』で、「東名阪握手サーキット」というイベントを開催していたのだ。

『LOVEマシーン』以来6年ぶりに、CD購入者の中から抽選で選ばれた1万5千名がモーニング娘。と握手できるというイベントの発案は、テレビ露出によるセールス方法が通用しなくなったことで周囲のスタッフもまた、すでに「変化」に対応しようとしていたことを指し示している。

そしてもう少し外に目を向ければ同じとき、会いに行けるアイドルというもう1つの「変化」を内包してAKB48が、秋葉原の小さな劇場で活動を開始していた。

やはり時代の節目は、いつも期せずして訪れていく。 そしてこの変化のタイミングに居合わせたアイドルたちは、生き残りをかけた大きな挑戦を、いずれもテレビが映さない舞台の上で、一斉にスタートさせていくのである。


モーニング娘。27枚目のシングル『色っぽい じれったい』(2005年7月27日発売)

※1『モーニング娘。 誕生10年記念本』(東京ニュース通信社)
※2「吉澤ひとみ(後編) 改革から始まったプラチナ期へのバトン」(朝日新聞デジタル)
※3『モーニング娘。 20周年記念オフィシャルブック』(ワニブックス)
AUTHOR

乗田 綾子


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