──小田さんって、たとえばJuice=Juiceの段原瑠々さんみたいに小さい頃からレッスンを受けていたりしたんですか?
小田 いやいや、まったく。瑠々ちゃんみたいに楽器もできないですし。それどころかカラオケに行ったこともなかったです。私はスマイレージさんのオーディションに落ちてハロプロ研修生になったんですけど、そのオーディションで歌ったPerfumeさんの『Twinkle Snow Powdery Snow』。あれが私の人生で初めてまともに人前で歌った曲なんです。それまではせいぜい軽い鼻歌くらいでしたから。だから上手いも下手もないですよ。本当に何もやったことがない単なるド素人だったので。
──それで当時のレベルだったら、逆に本物の天才ですよ。
小田 そんなことないですって! 当時の私くらい歌える子はそのへんにゴロゴロしていますし、なんなら今の私くらい歌える子だって山のようにいますから。
──いや、去年10月にやったハロプロ・オールスターズ「チーム対抗歌合戦」を観る限り、絶対ゴロゴロはしていないはずです。
小田 あっ、ご覧になったんですね。高木紗友希さん(Juice=Juice)と一緒に歌った『Everyday Everywhere』(太陽とシスコムーン)を。
──高木さんも最高でしたが、やはり小田さんは本物の歌姫なのだと再確認しました。
小田 高木さんとは比べられることがめちゃくちゃ多いんですけど、私からすると研修生時代から憧れていた先輩ですからね。シンガーとしてタイプが違うし、比べようがないんですよ。「ゴスペルと演歌、どっちがいい?」みたいな話であって。高木さんは高音がすごく出るタイプ。抑揚が大きくて、歌にグルーヴ感がありますし。それに対して私は雰囲気とか世界観を大切にする歌い手。高音は全然出なくて、モーニング娘。の中でも下から数えた方が早いくらいなんです。高木さんとは違うタイプだから相性がよかったのかもしれないですけどね。
──話の時系列を戻します。加入した当時は先輩たちのことをどう見ていたんですか?
小田 ……これは当時の何も分からない子供の意見という前提で聞いてくださいね。あの当時の私は「自分の方が歌が上手いじゃん」と思っていました。完全に思い上がっていましたね。あの頃の自分を殴ってやりたいです(笑)。
──それも当然じゃないですか。ピッチとか外さないわけですし。
小田 確かにピッチは昔から外さない方なんですけど、リズムとかはボロボロでしたよ。つんく♂さんがやりたい音楽とはかけ離れていたんですよね。おそらくつんく♂さんの考える歌の優先順位は「1・心」「2・リズム」「3・個性」とか続いていって、かなり下の方に「音程」という項目があるはずなんです。そこでドヤ顔したところで、「なんなの?」って話になるじゃないですか。とんだ勘違い野郎ですよ(笑)。