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UPDATE|2023/01/28

アカデミー賞インド代表で世界的注目 歌や踊りのないインド映画『エンドロールのつづき』の監督を直撃

(C)2022. CHHELLO SHOW LLP

インドの田舎から世界に羽ばたいた映画監督パン・ナリン。第95回アカデミー賞の国際長編映画賞のインド代表に選ばれた『エンドロールのつづき』が日本でも現在公開中だ。結果的にノミネートはされなかったが、年間2000本近く制作されているインド映画の中で代表に選ばれただけでも凄いこと。今回、ナリン監督とプロデューサーのディール・モーマーヤーに独占インタビューを行った。

【写真】溢れる映画愛…『エンドロールのつづき』場面写真【13点】

チャイ売りの少年が映画と出会い、やがて世界で活躍する映画監督になる…。そんな監督自身の驚くべき物語を映画化した本作。ナリン監督の少年時代の出会いや体験を元に、監督の信念と映画愛が込められている。

また、ナリン監督は『怒れる女神たち』(2015)や『花の谷 -時空のエロス-』(2005)といった、過去作品を観ても、インド映画における「ステレオタイプ」と戦い続けてきたことがわかる映画人である。

インドという国を世界からの視点で俯瞰的に見ているからこそ、インドの他の映画人とは、また違った意見を持っているのかもしれない。

──『エンドロールのつづき』は、日本で初めて一般公開されるグジャラート語映画です。監督はインドのグジャラート州出身ですが、グジャラート語映画は年間どれくらい制作されているのでしょうか?また今回、『エンドロールのつづき』はインド国内ではどういった上映形態で、一般の人は主にどういったかたちで作品にアクセスすることが多いのでしょうか?

パン・ナリン監督 現在は100本も制作されておらず、60~80本程度といったところで、超低予算や助成金目当ての作品も含めてこの数字です。(インド国内の)ヒンドゥーやタミル、テルグなどのように映画の製作、配給システムができ上がっていないため都市部と比べれば制作本数は少ないです。

また今回はグジャラート映画としては初めての試みともいえることに挑戦しました。グジャラート州はもちろん、ムンバイやチェンナイ、ハイデラバード、ケーララまでインドの各地で先行上映を行ったのです。通常であれば、その地域の言語に吹き替えるのですが、今回はグジャラート語のままで英語字幕上映しました。そのため英語字幕が追える人々の住む都市部だけに限られてしまいました。10月14日には全国180スクリーンで上映されましたが、この時もグジャラート語に英語字幕での上映です。

ディール・モーマーヤー(プロデューサー) 実は今回、インドよりも先に、世界中で配給公開が先行したという奇妙な状況でした。スペイン、ドイツ、台湾、イスラエルといった国で買い付けがされました。というのもインド国内の映画市場というのが、同じインド映画であっても地域を跨いでの公開となると、どうしても大スターものでないと受け入れてくれません。まず『エンドロールのつづき』が、大スターは出演していなくても良い作品であるということを証明しなければなりませんでした。海外で買い付けされていて、注目されている作品だという後ろ盾が必要だったのです。


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