井上 岡田さんは大学卒業後、通産省(現・経済産業省)に入省しました。公務員になることは大学時代に決めていたんですか?
岡田 もう少し前、高校時代から「公のために働きたい」という気持ちが強かったんですよ。だから、その延長線上で、公務員になりました。
井上 では、政治家を志したのはどのタイミングだったんですか?
岡田 それは通産省時代、30代でアメリカのハーバード大学に1年間留学したんですね。そのとき「ああ、政治もなかなかいいな」「政治家になる道もあるのかな」と思いました。
井上 どうしてそう思えたのでしょうか?
岡田 当時のアメリカはレーガン大統領の時代で、日本よりも政治家が尊敬されていて、国民の政治への参加意識も強いと感じました。それはハーバードのあるボストン(近郊)という地域独特の雰囲気だったかもしれないですけど。政治家が、あるいは政治が世の中を動かしているという実感。これは日本ではなかった新鮮な驚きでした。
井上 結果、公務員では物足りなくなったという感じですか?
岡田 そうですね。通産省での仕事はもちろん面白かったんですが、できないこともあります。例えば、社会保障に興味があったとしても厚生省に出向でもしなければ、できることは非常に限られます。だから、もう少し自分の関心のあることをいろいろやりたいな、と。
井上 なるほど。
岡田 あとは大臣や政務次官を見ていて、どうなのかな? という思いもありました。いろんな人が政治家を志し、なっていかなければ国の将来が危ういのかなという危機感もありました。