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UPDATE|2019/06/16

アンジュルム和田彩花 卒業記念 みうらじゅんと「仏像とアイドル」を語る(仏像編)

左からみうらじゅん、和田彩花 撮影/佐賀章広

2009年のスマイレージ(現・アンジュルム)結成時よりグループを牽引してきた、和田彩花。その彼女が6月18日の日本武道館公演をもって、ついに卒業する。デビュー時は不思議キャラとして衝撃を与え、その後現在の強みとなる「美術」や「仏像」といったカルチャーへの熱意を武器に、アイドル界以外からも評価される異色のアイドルに成長。その「自分らしさ」を貫く和田の姿は多くのアイドルに多大なる影響を与え、アイドル界外からも注目を浴びた。そんな、多方面から愛される和田彩花の魅力を卒業記念してみうらじゅん氏と「仏像とアイドル」を語る特別対談を2回にわたってお届け。1回目は仏像編から。


みうら 聞いていますよ、仏像が好きなんでしょう?

和田 はい! でも、もともとは西洋絵画が好きだったんですよ。どちらかというと仏像は苦手でした。漢字も読めないし、顔の見分けもつかなかったんですよ。でも、大学で本格的に美術を勉強するということになったとき、やっぱり一度はきちんと日本の美術や文化も知っておかないとマズいなと感じたんですね。だから最初は勉強というかたちで仏像に入りました。

みうら そうですか。僕は教科書で習う前に仏像を好きになったので、逆にラッキーだと思いました。勉強が昔っから嫌いだったもんで(笑)。

和田 それで言うと私も最初に仏像を学ぼうとしたとき、学校の先生に薦められたのが『見仏記』(みうらじゅん・いとうせいこう共著)だったんですよ。

──あの本を学校の先生が薦めるというのもすごい話ですね。

和田 でもあの本から入って本当によかったと、今も思います。『見仏記』って歴史とか美術的な角度とは関係なく、自由な発想で仏像を楽しもうって提唱している本じゃないですか。怪獣とかに例えるのがいい例ですけど。私はショックを受けると同時に、「ここまで自由に見ることが許されるんだ!」って気持ちが解放されたんです。仏像をセクシーだと表現するセンス、普通はなかなか出てこないですから(笑)。

みうら かつては仏像のことを表現するフレーズって決まっていたじゃないですか。「たおやかな微笑み」とか「崇高な美しさ」とかね。いとうせいこうさんと『見仏記』を始めた25年くらい前もそうでしたが、本来感じ方や見方はもっと自由でいいんじゃないかと思っていました。まあ、当時はお寺の方からよく叱られていたんですけどね(笑)。

和田 やっぱり、最初はそういう保守的な反対意見も多かったんでしょうか?

みうら いやあ、初めての試みはとにかく叱られるものですよ(笑)。だけど仏教界はね、もっと若い人にもどんどん門戸を広げていかないといけないと思うんですよ。ところで和田さんは実際によく仏像を見に行かれるんですか?

和田 そうですね。『見仏記』を読んでからは一気に仏像にのめり込むようになって、お母さんと一緒に奈良に行ったりもしましたし。奈良では中宮寺の半跏思惟像に圧倒されましたね。やっぱり実物を見ると違うんですよ。心にストレートに響いてくるというか……。こっちに与えてくるパワーが写真とは全然違う!

みうら 分かります。けどね、“パワー”ってちょっとヤバいフレーズが出ましたね。和田さんは、入信されているってことは……(笑)。

和田 全然ないです! そこは気にしないでください(笑)。だけどパワーをもらうっていうのは、仏像に限らず、すべての美術作品で私が重視しているポイントなんですよ。

CREDIT

取材・文/小野田衛 撮影/佐賀章広


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