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UPDATE|2019/05/29

全てはHKT48のために…指原莉乃が福岡・感謝祭に散りばめた未来へのヒント

「指原莉乃11年ありがとう!大感謝祭」(C)AKS

28日(火)にマリンメッセ福岡にて開催された「指原莉乃11年ありがとう!大感謝祭」。既にグループを卒業している指原は一体何を見せるのか……。超満員の観客の前で行われたもの、それは指原から新生HKT48への魂のバトンタッチだった。『活字アイドル論』『ももクロ独創録』など多くの著書を持つ元週刊プロレス記者・小島和宏氏が見た指原莉乃とHKT48の最後の一日。



4月28日の横浜スタジアムでの卒業コンサートから、ちょうど1カ月。今度は博多で『指原莉乃11年ありがとう!大感謝祭』が開催された。

HKT48の本拠地である博多でなんらかの卒業イベントが開催されるのは当然のこと。指原の出身地が九州は大分であることを考えても、横浜だけでさよなら公演を終えてしまってはいけない。そもそも横浜スタジアムでの卒業コンサートが電撃決定したときに、この『大感謝祭』もセットで発表されたので、そのときは当たり前のように受け止めていた。

しかし、実際に当日を迎えてみると、なんともモヤモヤした気持ちになった。あまりにも「謎のイベント」すぎるのだ。

大感謝祭と銘打たれてはいるが「コンサート」とも「ライブ」とも書かれていない。指原莉乃は当然、出演するのだろうが、HKT48が登場するとは明確にはアナウンスされなかった。いや、常識的に考えたら出るに決まっているのだが、そこでひっかかるのは、すでに指原莉乃はアイドルを卒業してしまっているという事実。変な話、彼女が一曲も歌わなくても誰も文句は言えないのである。

すべての謎がぼんやりとしたまま開演。超満員札止め・8000人の大観衆で埋め尽くされたマリンメッセ福岡(追加で発売された見切れ席まで完売)は黄色いペンライトで彩られた。この日はある意味、ファンから指原に対する「感謝祭」でもある。ファン主導のペンライトによる演出をステージ上から見た指原は、ちゃんとその意味を理解し、何度も感動していた。

いきなりステージの高いところにひとりで登場した指原は、ゆっくりと階段を降りながら『ここにいたこと』を歌う。この時点でステージには、指原しかいない。コンサートのオープニングで披露されるような曲ではない。むしろエンディングに歌うようなしっとりとした楽曲。ひょっとしたら、これは横浜スタジアムの「つづき」なのではないか? だって指原はもう泣いているのだ!

あの日「平成、チョー楽しかったです!」と絶叫しながら横浜の夜空に消えていった指原が、令和の夜に一日だけアイドルとして降臨したかのような幻想的な光景。歌い終えると同時にステージに戻ってきた指原は、想定外の行動をとった。

「新生HKT、がんばってくれるかな? あとは見てるからね、よろしく!」

そういうとセンターステージ(つまりアリーナ席のど真ん中)に設置された王冠を模した椅子に座って、メンバーのパフォーマンスを観覧しはじめたのだ。

この演出を見ていて、筆者は3年前のことを思いだしていた。
AUTHOR

小島 和宏


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