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UPDATE|2023/02/19

BreakingDownでブレイク“土木ネキ” 坂本瑠華の半生「土木業のイメージアップのために闘いたい」

撮影/たむらとも

1分間で最強を決める格闘技イベント「BreakingDown7」が2月19日に幕張で開催される。今回も癖の強い不良やYouTuberが数多く参戦するが、美貌と暴力性を併せ持った女子選手たちにも注目したいところ。

【写真】美貌も話題に、坂本瑠華選手の撮り下ろしカット【4点】

中でも「土木ネキ」こと坂本瑠華は、飾り気のないキャラと容赦のない突貫ファイトで名物選手に成長。なにより「建設業のイメージアップのために闘いたい」という“土木愛”で、幅広い層から支持を集めている。

「最初にBreakingDownに出たのは、キックボクシングを習い始めて3~4ヶ月くらいの時点。はっきり言って無謀ですよね(笑)。でも、どうせやるからにはトップを目指したいと思っていまして。それに素人とかが出る大会だったら、確実に勝てるんじゃないかと謎の自信もあったんです。現場で土木の仕事をしていて、腕力には自信がありましたから」

握力は55kg。霊長類最強と謳われた吉田沙保里と同じ数値である。プロフィールには「少林寺拳法6年」とあるが、「それは単なる子供時代の習い事だから、格闘技歴にはカウントしないでほしい」と本人は苦笑いする。つまり、ほぼ初心者の状態で並みいる強豪を沈めてきたのだ。そのベールに包まれた生い立ちを尋ねてみると……。

「生まれも育ちも熊本です。現在、24歳。こう見えて、3児の母もやっています。10代の頃はやんちゃしていたので、高校は2年の最初で辞めさせられました。理由ですか? 先輩から単車を買ったので、それに乗って学校に行ってみたんですよ。もちろん無免でしたけど。そうしたら運悪く、その日は教育委員会の会議みたいなのが体育館で行われていて、お偉いさんたちが集まっていた。もう先生たちは全員出てきて、『お前は2度と学校に来るな!』ってカンカンに怒っていましたね。だから、それで終わり(笑)」

毎日フラストレーションを溜めながら破壊衝動を爆発させていた10代の坂本だが、不良だったかどうかは微妙なところだと振り返る。「盗みとクスリだけはやるな」という親の教えは守っており、仕事に取り組む態度も真面目一徹。ケンカすることは多々あったが、女性とは闘ったことがないという。

「たとえば友達の女の子がいるじゃないですか。その子にしつこくつきまとってくる男がいて困っているとか相談を受けると、こっちがムカついてくるんですよね。だから呼び出して、その場でボコボコにしたり……。とにかく筋を通さない奴が嫌いなんです。九州の女なので」

高校中退後、坂本は迷うことなく建設業界に飛び込んだ。それ以来、一貫して土木現場で汗を流し続けている。所有している資格は3トン以上のブルドーザーやパワーショベルを運転・操作できる「車両系建設機械」と、「職長・安全衛生責任者」。職場は当然のように男性しかいない。

「私、おじいちゃん子だったんですよ。本当に大好きでした。おじいちゃんは土木の社長さんで、死ぬ直前まで現役。そんな環境で育ったものだから、当然、自分もその会社で働くつもりでいましたね。だけど、おじいちゃんは会社を畳んじゃったんです。理由は跡継ぎがいなかったから。その頃の私は非行に走っていたけど、もしそこでちゃんとしていたら会社は潰さなかったと思う。今となっては後悔しても遅いんだけど、せめて亡くなったおじいちゃんの意思だけは継いで働きたいと考えています」

坂本にとって、土木業は単なる生活費を稼ぐための手段ではない。格闘技で上を目指す現在も「どんなに有名になっても、土木だけは辞めるつもりがない」と断言する。

「現場では人生を学べるんですよ。人として大事なことは、全部、土木の仲間たちから習ってきました。うちの社長はめちゃくちゃいい人で、たとえるならお父さんタイプ。だから社員も家族みたいな感じになんです。社長には本当によくしてもらっているんですけど、先輩たちも『だったら俺たちは仕事で返すしかないだろ』とか言うんですよね」
AUTHOR

小野田 衛


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