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UPDATE|2023/03/09

映画『Winny』主演 東出昌大が語るアナログ私生活「肉がなければ山へ狩りに、薪をひたすら割って」

東出昌大 撮影/山田健史

ファイル共有ソフト「Winny」を開発し、その利用者による違法アップロードが続出したことから著作権法違反幇助の容疑をかけられ、2004年に逮捕された開発者・金子勇。金子とその弁護を引き受けることとなった弁護士・壇俊光ら弁護団は裁判で逮捕の不当性を主張するも、第一審で有罪判決を下されてしまう。開発者の未来と権利を守るために、権力やメディアと戦った男たちの実話を基にした物語が、このほど『Winny』として映画化。3月10日に全国公開される。金子勇役で本作の主演を務める俳優・東出昌大に、撮影に向けての取り組みや本作で伝えたいメッセージを聞くとともに、現在の暮らしぶりから俳優としての展望まで語ってもらった(前後編の後編)。

【前編はこちら】東出昌大がWinny開発者・金子勇役に挑戦「役作りをするというより、本人になりきる感覚」

【写真】東出昌大がWinny開発者・金子勇役に挑戦【7点】

──映画『Winny』はすごくデジタルな内容を扱う作品だと思いますが、東出さんは現在、狩猟などをして生活されているんですよね。

東出 そうです。デジタルとはかけ離れていますよね(笑)。

──アナログな生活はいかがですか。

東出 僕はもともとそういうことが好きだったんです。あまり物を買いたくないし、増やしたくない。靴下が破れたら縫えばいい、というような感覚なんですよね。だから今は身の丈にあった生活をしている感じがしています。芝刈りに行って、小枝を拾ってきて焚き付けに使って、薪を割って、煮炊きして。シンプルですね。

──毎日そうやって生活をしているんですか。

東出 毎日そういう生活です。朝起きて、火を起こしてコーヒーを入れて、山に行って焚き木を拾って。洗濯物が溜まっていれば、今の時期は寒いから、街のコインランドリーに行くんです。肉がなければ山へ狩りに行くし、薪はひたすら割ってます。小屋も建てないといけない。忙しいですよ。さらに最近は取材もあったりして「いいですよ」と言っている内に来客が絶えなくなっちゃって。でもそういう生活を発表することが目的ではないので、そこは変わらないように意識しています。

──今作では、金子勇さんが裁判によって拘束されることで、才能ある人にも関わらず時間をすごく浪費してしまうという点についても考えさせられました。限られた日々を過ごす上で、東出さんが大切にしていることはなんですか。

東出 自主自立ですね。「集団ってなんなんだろう」と思うんです。当時の報道では金子さんという人がよりキャッチーな形にねじ曲げられて伝えられていました。でも金子さんの本質ってそういうことじゃないんです。集団で安心安全の中にいると、他者を排斥して、キャッチーなものを目にしたがる人が多いと思います。

僕自身も、最初にこの作品の話を聞いた時には金子さんについて「怪しい人なのかな」と先入観を持ってしまいました。でも自主自立していれば、他者を排斥しようと思わないし、人を悪く言っている暇がないから、人に過度の期待もしない。金子さんは、金子さんの世界で自立なさっていたから、人を悪く言わなかったんだと思うんです。金子さんを演じる上でも、日々生きる上でも、考えさせられることは多いです。

AUTHOR

山田 健史


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