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UPDATE|2019/06/15

プライベートは愛妻家の撮り鉄 国民民主党・前原誠司 元外相に聞く“あの決断”に後悔は?

左から前原誠司、井上咲楽 撮影/松山勇樹



【2017年9月、第3代の民進党代表となった前原氏は、衆議院選挙で小池百合子氏率いる希望の党との連携・合流を決断。国民の期待感を背に自由民主党・公明党からの政権交代を果たそうとしたものの、小池氏の「排除いたします」発言の余波によって失速。10月の選挙後、民進党は立憲民主党、希望の党(現:国民民主党)などに分裂し、一強多弱の政治体制が残る結果に】

井上 前原さんは2017年の衆議院選挙のとき、重大な決断を下す場面が何度もあったと思います。

前原 はい。それも約1カ月という短い期間にね。

井上 あのとき、一番大切にしていたことはなんですか?

前原 私心で決断しないことですね。自分が損か得かを考えるのだけはダメだと心に決めていました。選挙を目前にし、民進党が目指すのは与党をひっくり返すことだ、と。そのためには野党がまとまらなければいけない。そこで、日の出の勢いのあった小池さんと組んで、安倍政権を倒す。その思いしかありませんでしたね。

井上 でも、基本政策が一致しない人は「排除いたします」となって、1つにまとまることができなかったわけですよね?

前原 あの言葉が潮目になったのは確かですが、実際、記者会見での小池さんは「政策理念が一致する方はどなたでもどうぞ」という言い方をしていたんですよ。ところが、「本当に排除しないんですか?」という質問が繰り返され、最後に「排除いたします」と答えた言葉が切り取られ、大きく報道されたんですよね。政治の世界は、私心のない1つの決断によって確実に何らかの変化を起こすことができます。ただ、なかなか思い描いた通りにはなりません。1つ言えるのは、「安倍政権を倒すために」と決断したことに後悔はありません。それでも「もう少しマネジメントできていれば……」という思いはありますが、過去は変えられませんからね。

井上 この先、立憲と国民がもう一度、1つになることはあり得ますか?

前原 難しい質問ですね。あり得るかもしれなし、あり得ないかもしれない。みなさんに「選挙のためにまとまった」と思われてしまう可能性は高いですから。

井上 前原さんとしてはどうしていきたいですか?

前原 僕は25年国会議員をやらせてもらって、将来の日本に役立つ何かを残していきたいという思いが年々強くなっています。ただし、与党でないとできないことが多いのも事実です。例えば、民主党政権のとき、国土交通大臣として航空行政の改革に取り組みました。羽田空港が24時間稼働し、国際線が発着するのはその成果の1つです。政権与党となり、大臣となれば、何かを変えることができます。ですから、次にそういうポジションに就いたときに何をするのか。その問題意識は常に持っていますし、それなしで政治家として国会に居続けるだけが目的になってしまったら、本末転倒です。政治家は手段。総理大臣になるのも手段。それが目的になったら、その人はダメだと僕は思っています。

井上 具体的には、どの問題に?

前原 短時間ですべてを説明するのは難しいので、要点だけを言うと、国民1人ひとりの負担を上げ、国の予算の無駄を削らないと、日本は持続可能ではない現実があります。超高齢化、人口減少に対応するには、避けて通れない道です。しかし、どちらも不人気な政策で、政治家は人気商売ですから、この2つに取り組むのは勇気のいること。だって、税金を上げられるのは嫌でしょう?

井上 私は必要だと納得できるなら、大丈夫です。でも、税金が上がる=反対という人は多いですね。
CREDIT

取材・文/佐口賢作 撮影/松山勇樹


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