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UPDATE|2019/06/15

プライベートは愛妻家の撮り鉄 国民民主党・前原誠司 元外相に聞く“あの決断”に後悔は?

左から前原誠司、井上咲楽 撮影/松山勇樹


前原 この間、財務省が平成2年と平成31年の税収のグラフを持ってきてくれました。井上さんは、何年生まれですか?

井上 平成11年です。

前原 驚きだね(笑)。じゃあ、20歳になったところ?

井上 今、19歳です。

前原 ずいぶん大人っぽいね。もっと上かと思って話していました。

井上 時々、中学生って言われることもあるくらいなので、うれしいです。ありがとうございます(笑)。

前原 井上さんが生まれる約10年前の平成2年と平成31年の税収は約60兆円で、ほぼ一緒なんですよ。しかも、教育、防衛、公共事業、科学技術への総予算もほとんど変わっていません。しかし、支出は約70兆から101兆円に増えています。税収は変わっていませんから、足りない分を借金で補っているわけです。しかも、使う方で大きく増えた費目が2つだけあるんですよ。何だか分かりますか?

井上 医療……ですか?

前原 そう、1つは医療、年金、介護という社会保障費。高齢化が進み、圧倒的に増えています。もう1つは何だと思いますか?

井上 えー! 何だろう。

前原 借金の返済である国債費です。社会保障費と国債費が増え、未来投資となる各予算は横ばいのまま。これが日本の現状です。持続可能な未来にするには、どうにか正していかなければならない。そのためには、「オール・フォー・オール」(みんながみんなのために)で負担を上げ、無駄な支出を減らすしかないんです。



井上 若い世代は、そういう意識を持たないと将来が不安だと思う人も増えている気がします。

前原 しかし、選挙結果を左右する不人気政策ですから、政治家はなかなか言い出せない。そこで、大衆迎合を続けているのが安倍政権です。先程の「立憲と国民が」という質問に戻ると、選挙のためにはくっついた方がいいのかもしれません。ただ、本当に重要なのは「国を救うためにはオール・フォー・オールで……」という意識を持っている人間が集まれるかどうかです。自民党の中にも考えの一致する人はいるでしょうし、僕は志のある人たちを集め、どう塊にしていくかを考えています。

井上 党派を超えて?

前原 そうですね。選挙は戦いなので、政治家は自分の当落が大切だから、ハードルは高いと思います。それでも国民のみなさんとの対話をしながら、きちんと説明し、納得してもらうことで道は開けていけると信じています。

「取材を終えて」〜井上咲楽の感想〜
前原さんは会ってみたい議員のお1人でした。というのも、明らかに失敗に終わった希望の党との合流を主導したあの決断を、今はどう感じているのか聞いてみたかったんです。実際にお会いすると、キラキラした目で撮り鉄トークをしてくれる、京都の上品でやわらかな感じ溢れる愛妻家でびっくり。これから先、野党が大きな波を作れるのか? 前原さんもそのキーマンの1人だと改めて感じた取材でした。

(『月刊エンタメ』2019年6月号掲載)

前原議員が <新たに選挙権を得た若い世代> に読んでほしい1冊

『竜馬がゆく』(司馬遼太郎 著/文藝春秋 刊)
司馬遼太郎さんの『竜馬がゆく』は、血沸き肉躍る読書体験ができるんじゃないかな。僕は学生時代から今までで4回は読みましたが、特に政治家になってからは「なぜ自分が政治の世界に入ったのか」という原点を思い出させてくれる1冊です。司馬さんの創作かもしれませんが、竜馬は「死ぬときは、たとえどぶの中でも前向きに倒れて死ね」と言ったと言われています。僕はその亡くなるシーンが特に印象的で忘れられないですね。

▽井上咲楽(いのうえ・さくら)
1999年10月2日生まれ、栃木県出身。A型。
現在は『サイエンスZERO』(NHK-Eテレ)などにレギュラー出演中!
Twitter:@bling2sakura

▽前原誠司(まえはら・せいじ)
1962年4月30日、京都府京都市左京区生まれ。28歳で京都府議会議員に当選し、政治家の道を歩み始める。93年、衆議院議員となり、国土交通大臣、外務大臣を務める。
CREDIT

取材・文/佐口賢作 撮影/松山勇樹


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