FOLLOW US

UPDATE|2019/06/23

井上咲楽が野田佳彦 元首相に聞く「もう1度総理大臣になりたいと思いますか?」

左から野田佳彦、井上咲楽 撮影/松山勇樹



井上 野田さんが首相を務めた後、民主党はバラバラになりました。民進党になり、立憲民主党と国民民主党に分かれ、他の野党と統一会派を作り、野田さんは無所属で。私たちから見ると、野党はくっつたり離れたり、結党したり解党したり、最終的なゴールはどこにあるんだろう? と思ってしまいます。

野田 もう1回、政権交代可能な国にしたいと思っています。与党がミスをしたら、国民の皆さんの気持ちの受け皿になる野党が次の政権を預かる。自民党一強を作っているのは多弱ですから。野党の多弱。それを克服するためには野党第一党を中心にまとめて、きちっとした対立軸を作っていきたいですね。

井上 ムーブメント起こし、政権交代を……というのは、本当にできることなんですかね?

野田 やらなきゃいけないと思っています。

井上 もし政権交代が行われたら、もう1度、総理大臣になりたいと思いますか?

野田 いや、自分がどうのっていう気持ちは、正直もうないですね(笑)。総理はなろうと思ってなれるもんじゃないですから。やっぱり何らかの天命、運命みたいなものがないと。今の選挙制度、小選挙区比例代表制は振り子現象が起こりやすい仕組みですから。今は振り子が片側で止まっていてこちらにこないですが、それは受け皿がないから。国民民主党にも、立憲民主党にも、政策立案能力のある国会でいい仕事ができる中堅と若手が揃っているので。彼らを活かしながら、共存共栄でお互いに党勢を拡大していく。与党に対抗できる受け皿にするため、自分に何ができるのかを考え、行動していきたいですね。

「取材を終えて」〜井上咲楽の感想〜
元総理にインタビューするのは初めてで、すごく真面目で堅い人なのかなとドキドキしていたのですが、総理時代の話も聞けてうれしかったです! お話を聞いているうちに、野田さんの「野党をまとめたい」という思いを強く感じました。細野豪志さんをはじめ、参院選を睨んで動き始めた与野党議員。とにかく選挙のために動く人が勝つのか、野田さんのような信念を貫く人が勝つのか。参院選が楽しみです。

(『月刊エンタメ』2019年4月号掲載)

野田議員が <新たに選挙権を得た若い世代> に読んでほしい1冊

『男子の本懐』(城山三郎 著/新潮社 刊)
学生時代によく読んだのは3人の作家の時代小説です。司馬遼太郎作品の志と夢の世界、藤沢周平作品の凛とした佇まい、山本周五郎作品の人情の機微。時代小説には政治に必要なエッセンスがすべて込められていると思います。最近、改めて読み返しているのは城山三郎さんの『男子の本懐』や『落日燃ゆ』。いわゆる政治家の伝記物で、本当に勉強になりますし、やはり心が強く動かされますね。

▽井上咲楽(いのうえ・さくら)
1999年10月2日生まれ、栃木県出身。A型。
Twitter:@bling2sakura

▽野田佳彦(のだ・よしひこ)
1987年に千葉県議会議員に初当選。1993年、日本新党より衆院選に出馬し、衆議院議員に初当選。民主党政権では財務大臣、第95代内閣総理大臣を務めた。
CREDIT

取材・文/佐口賢作 撮影/松山勇樹


RECOMMENDED おすすめの記事