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UPDATE|2019/06/30

諦めなかった者だけが次の時代を作る…亀井絵里が見たモーニング娘。プラチナ期

モーニング娘。年代記 第12回

アイドルは時代の鏡、その時代にもっとも愛されたものが頂点に立ち、頂点に立った者もまた、時代の大きなうねりに翻弄されながら物語を紡いでいく。結成から20年を超えたモーニング娘。の歴史を日本の歴史と重ね合わせながら振り返る。『月刊エンタメ』の人気連載を出張公開。12回目は2008年のお話。

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「歴史が変わる」という言葉における、その実際の動きは、2つのパターンに分けられるのだと思う。

一つは「Change」という明快なキャッチコピーで国民の心を束ね、2008年にアフリカ系として初めてアメリカ大統領選挙を勝ち抜いた、バラク・オバマの例。そしてもう一つは後に自分たちが伝説として呼ばれることを知らず、ただひたすらに1日1日を過ごしていた、2008年のモーニング娘。の例である。

後にこの時期が“伝説のプラチナ期”として称賛されるようになったとき、話題を向けられた田中れいなが「平坦な時代です」(※1)と返したのは自嘲でも何でもなく、おそらく本心だったはずだ。

いま時系列で振り返っても2008年とは、モーニング娘。にとってグループ結成後初めてメンバーの変動が一切ないまま過ぎていった、もっとも平坦な記憶の1ページである。さらにそれらの印象は立て続けに起きた『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)への出演途絶、そして先輩たちから受け継いできた冠番組『ハロー!モーニング。』(テレビ東京系)シリーズの放送終了によって、より強調されてもいる。

「加入当初の忙しさはなくなって、少し自分の時間が持てたことに喜んでいたくらい」(田中れいな)(※1)

ただこの平坦で、そして後に歴史的名曲とされた『リゾナントブルー』のリリースを持ってしてもAKB48やPerfumeの追い上げに勝てなかった2008年は、当時のモーニング娘。たちにとってどんな意味をもたらしていたのか。それを探るために資料を振り返っていると、ふとこんな文章が目に入った。それは2008年当時のモーニング娘。主要メンバー・亀井絵里の言葉である。

「モーニング娘の仕事のなかでも特に思い出深いのは、やっぱりコンサートです。自分の自信にもつながっていったし、勉強にもなったし、すべてはコンサートだったっていうくらい、自分にとっては大きな場でした」(※2)


※1「モーニング娘。 20周年記念オフィシャルブック」(ワニブックス)
※2「亀井絵里写真集『 THANKS 』」(ワニブックス)
AUTHOR

乗田 綾子


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