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UPDATE|2023/05/14

第2の黄金時代、永田裕志が語るもう一花の咲かせ方「窓際?老害?どう言われたって気にしません」

撮影/松山勇樹

55歳になったプロレスラー・永田裕志が、第2の黄金時代を迎えている。新日本プロレスに所属したまま、今年2月には全日本プロレスの至宝・三冠ヘビー級王座を奪取。これまで永田は新日本のIWGPヘビー級王座、プロレスリング・ノアのGHCヘビー級王座を戴冠してきたため、史上5人目となるメジャー3団体のグランドスラム達成を成し遂げたのだ。54歳9カ月での三冠ヘビー級王座獲得は、天龍源一郎が保持した最年長記録(52歳2カ月)を更新することにもなった。

写真】三冠ヘビー級ベルトと共に、永田裕志の撮り下ろしカット

しかし熱心なプロレスファン以外は、現在の永田が新日本マットの外部で輝きを取り戻していることすら知らないのではないか。常に新しいスターが誕生するプロレス界において、55歳というのは「あの人は今」状態になってもおかしくない年齢。一般的な企業でも、最前線の現場でバリバリ働くのが厳しくなるものだ。「窓際族? 老害? どう言われたって、自分は気にしません」そう語る永田にサラリーマンにも通じる“もう一花の咲かせ方”を聞いた。(前後編の前編)

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「ここ1年くらいの間で、自分を取り巻く環境がすごく変わってきたんですね。出向みたいなかたちで全日本の試合に出るようになり、そこでファンの方に声援を送っていただきながらチャンピオンにもなることができまして。こんなことになるなんて、僕自身もまったく予想していなかった。

昔、大御所の先輩に『見ている人は絶対どこかで見ているからな』って言われたことがあるんですよ。そのときはピンと来なかったけど、今はその意味が非常によくわかる。どんなことがあっても腐らず、自分の刀を磨き続けることが大事だったんだなと」

アマチュアレスリング(グレコローマン)で数々の実績を残した永田は、1992年に新日本へ入門。UWFインターナショナルとの対抗戦で桜庭和志らと激闘を繰り広げるなどして、頭角を現すようになる。99年にIWGPタッグ王座を獲得すると、そこからは一気に団体の中心選手に。2002年からはIWGP王者の最多防衛記録を更新し(当時)、エースとして牽引する存在となった。

「だけど、12年からはIWGPにまったく絡んでいません。つまり10年以上、新日本のトップ戦線から遠ざかっているんです。中でも一番精神的にキツかったのは、15年に行われた1・4(東京ドーム大会)。このときは本戦の試合ではなく、第0試合として15選手が出る時間差バトルロイヤルでの出場だったんです。

正直、自分は団体に必要とされていないんだなって一瞬だけ自暴自棄になりかけましたよ。でもね、そこで新日本を辞めようとは思わなかった。プロレスを離れようとは考えなかった。それどころか『見てろよ』って闘志に火がついて、気がついたらドーム翌日の後楽園大会でインターコンチネンタル王者だった中邑真輔に挑戦表明していました」
AUTHOR

小野田 衛


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