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UPDATE|2019/07/15

井上咲楽が林芳正 元・文部科学大臣に聞く「宏池会会長・岸田文雄さんは優柔不断じゃないですか?」

左から林芳正、井上咲楽 撮影/荻原大志



井上 今、林さんは自民党で最も歴史がある派閥の宏池会の座長を務めています。派閥があることのメリットってどこにあるんでしょうか?

林 自民党には現在、衆参合わせて約700人を超える国会議員がいます。そこに初当選を果たした新人が加わったとき、派閥では30人、40人の先輩議員がマンツーマンでさまざまなことを教えていきます。それは大学で言えば、ゼミに入るようなもの。気軽に相談もできますし、国政や政策について親身になって教えてもらえる。こうした教育機能が派閥メリットですね。

井上 宏池会の会長は岸田文雄さんです。これは私の個人的なイメージなんですが、去年の総裁選での出馬か不出馬で揺れる姿を見ていて、少し優柔不断でリーダーとしてはやさしい方なのかなと。近くでご覧になっていてどうですか?

林 確かに、そういうふうに言う人は多いですし、印象を聞かれることもあります。ただ、宏池会の座長としてずっと一緒にいて感じるのは、岸田さんが本当に考え抜く人だということ。歩みは非常にゆったりしています。パパパっとは行動に移さない。じっくり考えながら進む。だからこそ、「こうだ」と決めたことは必ず実現します。

井上 冷静で、丁寧で、信頼できる方なんですね。

林 公の場で話す内容も書き起こしてみると、きちんとした文章になるんですよ。それだけ言葉を選んで話している。失言もないですが、メディア的にはあまり面白くはないでしょう。ただ、今後の日本にはさらなる高齢化と、経済が大きくは成長しない時代がやってきます。国民の皆さんに負担の分担をお願いする局面もあるでしょう。そのとき、「岸田さんが言うのなら、公平にやっているんだろうな」と。そんな信頼を得られるリーダーであることは間違いありません。

井上 ぶっちゃけ、次の総裁選には出馬されますか?

林 う~ん、ここまで着実に歩いてきましたから、次は下がることはないでしょう。

井上 では、林さん自身は?

林 座長になる前の時代は、総裁選にも出馬していますから、そういう気持ちはずっと持ち続けています。まずは岸田政権を実現し、そこで経験を積ませてもらい、いつかは、と。岸田さんの次に続けるよう努力していきたいですね。

「取材を終えて」~井上咲楽の感想~
『ViVi』と#自民党2019のコラボ問題や麻生さんの老後資金は30年で約2000万必要発言など、最近はいろんな世代の気持ちが食い違っているように感じます。でも、その幅のある間を結ぶことができるのが、若者の感覚も大切にできる林さんのような世代の議員さんだと思います。少子化、格差、外国人労働者…… 変わりゆく日本のリーダーになる人は、果たしてどんな人がよいのでしょうか?

(『月刊エンタメ』2019年8月号掲載)

林議員が <新たに選挙権を得た若い世代> に読んでほしい1冊

『新編 百朝集』(安岡正篤 著/関西師友協會 刊)
安岡正篤先生は、佐藤栄作さんから中曽根康弘さんに至るまで、昭和の歴代首相の指南役を勤めた思想家です。『新編百朝集』は、「我」「人間」「忍耐」など、そんな安岡先生の語録を集めた本。「初めて手にしたのは20年くらい前のことです。もちろん一度は通して読みました。1つひとつは短いので、以来はいつも手近なところに置いておいて、考えごとがあるときなんかに、『どんなことが書かれていたかな……』と読み返している1冊です」

▽井上咲楽(いのうえ・さくら)
1999年10月2日生まれ、栃木県出身。A型。
Twitter:@bling2sakura

▽林芳正(はやし・よしまさ)
1961年1月19日生まれ、山口県下関市出身。東京大学法学部卒業後、三井物産に入社。1994年にハーバード大学ケネディ行政大学院修了後、1995年に初当選。防衛大臣、内閣府経済財政政策担当大臣、農林水産大臣、文部科学大臣を歴任。
CREDIT

取材・文/佐口賢作 撮影/荻原大志


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